宙 ページ30
神宮寺「ねぇ、去年の俺らのコンサートは見てくれた？」
A「ごめんなさい、見てない。」
神宮寺「そっか…」
紫耀「いいんだって別に。気にしないでいいから。」
優しくそう言ってくれてるけど、
寂しそう。
神宮寺「いや、ごめんね。見てくれてたら嬉しいなって思っただけだから。」
岸「あー、あれでしょ？宙のくだりね。」
紫耀「言うなって…」
宙…
今でも大好きで、
大切な曲。
気が付けばいつも口ずさんでいるの。
凛にも何の曲？って聞かれて、
でも、
咄嗟に誤魔化して教えなかった。
知られたくなかったの。
それだけ大切な曲。
A「宙が、どうかしたの？」
紫耀「何もないから。」
神宮寺「俺に感謝してくれてもいいと思うんだけど？俺、まだ礼言われてないよ？」
岸「あれはナイス演出だったよね。紫耀の為にってやつ。」
一体何があったのだろう…
紫耀「俺、トイレ。」
そう言ってトイレに立った紫耀。
その背中を見つめていると、
神宮寺「あのね、去年のコンサートで、宙を歌う事になったんだけど、その…、Aさん、宙、好きって言ってくれてたでしょ？それみんな知ってたから、Aさんを思って、みんなリハの時から歌ってたの。元気かなーとか、Aさんの思い出話とか話したりして。そしたら、紫耀が、泣いちゃって…、歌えねぇよって…。で、本番でこれだとって、どうするのかってなったんだけど、岸君が絶対に歌うって言い張って。どこかでAさんが見ててくれるかもしれないからって。で、考えた結果、その前にコントを入れて、ふざけた格好のままで、紫耀は目が見えないくらいのサングラスをしたままで歌えばバレないよねって。」
岸「で、大成功。流石、神宮寺だよな！」
A「そんな事が…」
2人の話しを聞き、
胸が苦しくて、
申し訳なくて…
何故見なかったのか、
そう思っていると、
トイレから戻って来た紫耀が私を見るなり、
紫耀「あー、岸君何泣かせてるんだよー！許さないってさっき言ったよね！」
そう言って、
岸君にダイブし、
2人で戯れていた。
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2021年8月7日 1時
