Contract love ～偽装恋愛～ 22 (ページ1)

今日:3 hit、昨日:25 hit、合計:124,527 hit

ごめんなさい… ページ1

凛に手を引かれ、
私のマンションを通り過ぎて、
凛のマンションへ。

その間、
後ろの方で車の音がした。
紫耀が帰って行ったんだ…
本当にさよなら、紫耀。
何故もっと早く…
ううん。
もうそんな事どうだっていい。
こうなるのが運命だった訳だから…

何も話さない凛。
怖くて、
申し訳なくて、
何も話せない私。

部屋へ入ると、
私の方を見て、

凛「お風呂にしよっか。俺、酒臭いから先にいい？」

私の返事を聞く事なく、
それだけ言うと、
洗面室へ入って行った凛。

てっきり部屋に入ったら、
責められ、
問い詰められると思っていたから、
凛の行動に驚いた。

でも凛はこう言う人。
紫耀とは違うから…

何をしていいのか分からない。
ソファーに座り凛を待ちながら、
静かな部屋で1人いると、
紫耀とのこの数時間の出来事が甦ってきてしまう…
ダメなのに、
最低だって分かっていても、
キスを思い出してしまって、
無意識に唇に手を伸ばしていた…

凛とはもう別れなきゃ…
嘘付いて、
浮気までして、
それで、
黙っていようなんて、
そんな事しようとした自分が恥ずかしい。
最低過ぎる…
何を聞かれても、
言い訳はしない。

振られるんだろうな…
凛と幸せになりたかった…
凛とならって、
そう思えたのに、
紫耀に会ってしまえば、
その思いは簡単に崩れ落ち、
引き戻されてしまったの…
ごめんなさい…凛。

泣く権利なんかないのに、
涙が止められないまま、
震える手で
薬指の指輪を外そうと手をかけた時に、

凛「さっぱりしたわー。Aも早く入ってくれば？」

あまりにも普通な態度の凛がそこにいた。

A「…えっ？でも…凛…」

話さなきゃいけない事があるの。

凛「いいから！ごめん、…その…匂い、流して来て欲しいな…」

冷蔵庫からお水を取ろうとしながら、
そう言われた。
優しく、
でも強くそう言われた。
凛だってこんなにも我慢してくれている。
きっと私の顔なんて見たくもないだろうに…

話しを…
そう言いたかったけれど、
言える雰囲気ではなかった。

A「ごめんなさい…凛」

謝ることしかできず、
凛の横を通り過ぎた。

元彼の香りを流すために、
彼氏の家でシャワーを浴びる。

このシャワーからあがったら、
凛とはもう終わってしまう。
そう思うと、
涙がまた止められなくて、
シャワーの下、
引き攣るように声を押し殺して泣いた。