振って欲しい ページ2
シャワーから出て、
凛の元へ。
きっと凄くひどい顔。
最後に見せる顔がこんな顔だなんてな…
そんな考えまでしてしまう私は、
とことん最低な女だ。
そんな私に、
凛「髪濡れたままじゃん。笑」
眉を下げながら笑うと、
ドライヤーを持って来てくれた。
そして、
凛「乾かすから、座って？」
ソファーに座る自分の足元へ来いと手招き。
A「凛…やめてよ。優しくなんてしないで…」
凛「好きな人に優しくしたいって思うのは当然でしょ？」
何故なの？
何故笑えるの？
A「何故？何故何も聞かないの？私、嘘付いて、それで…」
凛「言わなくていいから。」
A「ダメよ。私は凛を裏切ったの。だからもう凛とは別れなきゃって…」
凛「…はぁ。何で言うかな…。」
A「裏切って、ごめんなさい…。」
凛「…あの人、誰？」
A「元彼…」
凛「そっか…。俺ね、こんな日が来る事が1番怖かったよ…」
A「ごめんなさい…ごめんなさい」
凛「いつから？ずっと、浮気してたの？」
A「…今日、仕事帰りに会ったの。凛と付き合ってからは今日が初めて会った。…でも、車に乗った。彼の部屋に行った…。キスした…。」
凛「何で？俺の事はその程度だったの？元彼が忘れならないって、付き合う前に聞いてたけど、でも、それを超えてくれたんだって、俺はそう思ったから、だから…。何でだよ…。部屋に行くって、何？ヤッたの？そいつに抱かれて来たの？」
A「それはしてない。でも、流されて…キスはした…」
凛「はぁ…。キス…、キスか…。くそっ…」
下を向き、
手のひらに力を入れると握り締めた。
しばらく無言の状態だった。
時計の針の音がやけに耳に付いた…
A「凛、ごめんなさい…。別れ…、私を振って下さい…」
私が別れたいと言うのも、
凛からしたら嫌だよね…
だから、凛から振って欲しいの。
でも、凛は何も言わずに、
下を向いたまま。
また無言のまま時間が過ぎて行った…
そして、
凛「…あのさ、さっき、Aだってまだ気付く前、さよならって聞こえたんだけど…」
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2021年8月7日 1時
