優しいキス ページ10
ここ数日の微妙な関係が嘘の様に、
また仲良しに戻った私達。
本当に良かった。
こんな穏やかな朝が、
嬉しくて堪らないの。
紫耀「フフ。ご機嫌だね。可愛い。」
朝ごはんを食べながら、
笑顔でそう言われた。
A「フフ。幸せな朝だなぁって思ったら、嬉しくて。」
紫耀「そうだね。すごく幸せ。めっちゃ幸せ！」
A「フフフ。」
紫耀「エヘヘ。」
A「今日の帰りは何時ごろになるの？」
紫耀「えっ？初めて聞かれた…、ヤバイんだけど。」
A「えっ？そうかな？」
紫耀「そうだよー！あー、でも分かんない。えっとね、待っててね？」
スマホを手に電話をし始めた。
マネージャーさんかな？
紫耀「おはようございます！いえ、はい、はい。あのー、今日って、終わりは何時かなーって思いましてですね。えっ？？えー…それ行かなきゃダメですか？…ですよね…、はい、はい。じゃあまた後で。はい。」
遅くなるって言われたのね。
さっきまでのハイテンションが嘘の様。笑
紫耀「遅くなるって…ごめんね？今日、夜、打ち上げなんだって…」
そっか。
映画の撮影が終わったものね。
さっきの話から想像すると、
その打ち上げに行かなきゃダメですか？
って聞いてたんだ。
主役が行かないなんて、
そんな事ダメに決まってるのに。笑
そっか、今日は遅くなるのね…
少しだけ寂しいな。
A「そっか。」
紫耀「へへ。寂しいなぁって顔してる。」
A「えっ？そう？」
頬に手を当ててみる。
紫耀「早く帰れないから、俺も寂しいよ。でもさ、今日メンバー全員で収録だから、その時は会えるね？」
A「そうだね。楽しみだな。私、紫耀が歌って踊ってる姿見るの、好きなの。マネージャーなのに職権乱用もいいところだよね。」
紫耀「嬉しい。俺、張り切っちゃうからね！あっ、俺だけ見ててね？」
A「うん。紫耀だけ見てるね？」
それから少しして、
お迎えの時間になり、
玄関で紫耀を見送る。
昨日までとは違って、
ちゃんと気持ちが込もったキスをして、
抱き締め合い、
紫耀「行きたくない…」
駄々をこねる紫耀。
久しぶりだな。
そんな紫耀を宥めるつもりが、
A「私ももっと一緒にいたい。」
今日は私の方が駄々っ子だった。
そんな私に、
抱き締めていた体を離すと、
紫耀「A…」
嬉しそうな、
優しい表情で見つめられ、
首の後ろは手が差し込まれ引き寄せられ、
そして、
優しいキスをくれた。
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2020年2月2日 10時
