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デパート ページ1

駐車場からデパートまで歩きながら、

腕時計で時間を確認する。

デパートはオープンしたばかり。

だから、大通りに面したこの歩道も、

日中に比べると人通りも少ない。

早歩きで歩くけど、

人を避ける事も交わすこともなく歩ける。

この都会では、

こんな事にも一々感動する。

あっという間に目当てのデパートへ着いた。

そして、

デパートの中へ入った時だった。

急に横に並ぶ人が…

ん?
不思議に思いながら、
見上げると、
まさかの紫耀だった。

嘘でしょ?

深く被ったキャップとマスクで、
変装は一応してるけど、
目が出てるから、
分かる人には分かると思う。

驚きすぎて、
声も出ない。
そんな私に、

紫耀「足早すぎだよー。笑」

平然とそんな事を言う。

A「…いや、なんでいるの?」

紫耀「俺、ずっと追いかけてたのに、全然追いつかなかったんだけど。笑」

A「だから、なんでいるの?」

紫耀「ワクワクするね!」

いやいや。
さっきから全然会話になってない。
この状況をどうすればいい?
指輪の騒動のすぐ後に、
この状況…
こんな事、バレるととんでもない事になる。
でも、
紫耀はこの調子だし…

紫耀「もー。立ち止まったらバレちゃう。ほら。」

立ち止まった私の元へ戻って、
そんな事を言いながら、
私の手を引いて歩きだそうとした。

A「…離して」

紫耀「だね?やっぱりこれはマズいか。笑」

何とか手は離してくれたけど、
この状況をどうにかしないと。

紫耀「もー、そんな顔しないでよ。」

A「なら、こんな事しないでよ。ってか、喋らないで。声でもバレちゃいそう。」

周りをキョロキョロ見渡す。
まだバレては無さそう。
けれど、時間の問題かも。

紫耀「分かった…って言うと思った?残念でしたー。」

A「お願いだから、今すぐ車に戻って。」

紫耀「もー、大丈夫だって。意外とバレないんだって。それよりも、こんな会話してるのを聞かれちゃったりしたほうがバレると思うけど?」

確かにそうだ。

A「確かに。」

何だか上手い事話を持っていかれた気がするけど、
紫耀とここで揉めていると逆に目立ってしまうもんね。

紫耀「そう思うでしょ?だから、普通に普通に。さっ、ワインだっけ?行こー。」

そう言って先を歩く紫耀の後を追った。
大好きな大きい背中を見ながら、
私だったら、
この後ろ姿を見ただけで、
平野紫耀だって気が付く自信あるな。
なんて、
そんなことを思いながら…

ホントのホント…→



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作者名:ひろみ | 作成日時:2019年11月24日 0時

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