あなたのもの？ ページ25
言葉を挟む間もないほど、責め立てられている…
そして、何故そんなに私の行動を知りたいの？
腹が立って来た…
「何とか言ってください。」
急に敬語？
余計に腹が立つ…
「…あの、……」
「何？」
ソファーに座る彼が、ちらっと私を見上げた。
「……私の事は気にしないでって言ったよね？お互いにこういうのは、やめようよ。」
傍から見れば、カップルの痴話喧嘩のようなこのおかしな状況…
こんな意味の無い、カップルごっこのような会話は、疲れるだけ…
「は？Aは、俺のものなんだろ？なら、どこで何してたのか知る権利はあると思うし、俺以外の男とご飯なんてありえないんだけど。」
あなたのもの？
笑わせないで…
彼氏みたいな態度も言葉も、もうやめて…
先に壁を作ったのはあなたでしょ？
「あなたのもの？私はあなたのものなの？あなたはそう思ってるの？私が社長さんと話した内容は、あなたの話し相手、求められればそれ以上も。これだけ。あなたの彼女でも友人でもない。」
すると、怒りに満ちた顔で立ち上がり、私を持ち上げ、寝室のベッドに連れて行かれた。
ベッドに落とされ、両手を掴まれ、私に跨った。
「やめて…」
上から見つめてくる強い眼差しに負けないように見つめ返し、そう言った。
「何で？求められればそれ以上って、こういう事でしょ？じゃあ、させてよ。」
そうだね。なんで意地になってたんだろ？
何でこんなにもイライラしてしまったんだろ…
私は、所詮お金を受け取って、差し出された女。
勘違いしてたのは、私の方…
「……分かった。」
静かに目を閉じた。
「…ごめん。」
力強く押さえつけられた両手が解かれ、上にあった気配が無くなった。
静かに目を開けると、
足元に座る彼がいた。
大きな背中が、ひどく落ち込んでいた。
体を起こし、そっとその背中に触れた。
初めてあなたに触れた。
この前は髪の毛だけだったから。
彼は、ビクッとなって、私の方を見た。
「…ごめん…。手首痛くない？見せて？」
手首を見せる。
リビングからの明かりが差し込むこの部屋。
くっきりと赤く残る握られた跡。
痛くはないけど…
胸を押さえて、
「…大丈夫よ…。それより、ここが痛い…。」
「…ごめん。」
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
