少し話そうか ページ26
彼は小さく謝ると、私を優しく抱き寄せた。
何をしているだろう私達は…。
何もかもが、間違っているんだろうな…
「…ごめん。」
「私こそごめんなさい。変な意地を張ってた。」
「俺こそ、イライラしてしまって…。こんな事まで…」
彼の背中を、優しく擦りながら、
「おあいこだね。笑」
そう言った私をいきなり引き剥がし、
「今の笑顔見たかった…。もう1回！」
「えぇっ？」
「お願い！」
「イヤだよ。」
「もう1回！」
そう言って、今度は抱き締められた。
「はい、おあいこだね。って言って！」
「ヤダ。」
「言って！あっ、これじゃまた見れない！危ない、危ない！」
また、私を引き剥がした。
「もう…。笑」
「…笑った。笑ったー！！」
ガッツポーズまでしている。笑
「…もう恥ずかしい。」
「いいじゃん！…あのさ、…少し話そうか。」
「そうだね。」
私達には、話しが必要。
それをしなくて、こんな事になってしまったから。
ソファーに座っている彼の横に座った。
やっぱり、私は距離を取って、ソファーの端に。
「もう、またー。」
そう言って、ピッタリと膝が触れる距離まで詰められた。
「近くない？」
「近くない！」
「フフフ。笑」
「今の笑顔は、違うな…」
「なにそれ？」
「いいの。違いがわかる男だから俺は。気にしないで？あっ、これAの真似ね？」
「ふーん。」
「あっ、興味無さそうな返事！」
「そんな事ないって」
「難しいなAは。」
「私？難しい？そうかな。」
「Aの取説が欲しいもん。」
「なにそれ？もしそんなのがあっても、1ページで終わるよ。」
「いいや、5000ページはある！」
「そんなに？あなたにとって、私ってそんなに扱いにくいって思われてるの？」
「はい！出たー！早速！何故、俺の事をあなたと言うのか？何ページに載ってる？」
「知らないよ…。呼び方？そんな事、気にしないでいいって。」
「そんな事じゃないじゃん！呼び名決めたでしょ？俺はAって呼んでるのに、俺は何で呼んでくれないの？」
「呼ぶ時がないだけよ…」
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
