悪い女 ページ2
思ってもいないことを、スラスラと言えてしまう私は、もうこの業界に染まってしまっている証拠なんだろうな…
「上手いなー！これだから、Aにハマっちゃうんだよなー。」
「そんな、それじゃあ、私が悪い女みたいじゃありませんか。」
「俺はどんなAでもいいよ？例え悪い女でもね。」
声のトーンからして、これは本気だ。
私を落としにかかってるな。
この仕事をして、唯一良かった事は、男を見る目を養えた事。
この人は、欲しいと思った物を手に入れておきたい人。
今は、私だとしても、明日にまた楽しいことが見つかれば、すぐにそっちに行ってしまうような人。
だから、
耳ともに手を添えて、小声で、
「私はムリよ。やめておいた方がいいわ。」
そして、もう1つこの仕事で良かった事は、男の人を上手くあしらえる技も身に付けれた事だ。
「何がムリなの？」
ほら、気になってる。
「さぁ、なんでしょう？あと、1000回ぐらい指名して下さったら、教えてあげようかな。笑」
「カッー！流石だね。これだから、止められないんだよなー。」
「フフフ。笑」
また完璧な笑顔を作りながら、こんな風に男の人を上手くあしらっている私は、本当に悪い女なんだろうな…
「失礼します。Aさん、ママがお呼びです。」
ママが？
何だろ？
「分かりました。すみません。失礼しなきゃ。またお待ちしてます。」
「うん。また会いに来るよ。」
ママが待つ部屋に連れられて行くと、そこはVIPルーム。
今日は、予約入ってなかったはずだけどな…
そう思いながら、
トントン。
「はぁーい。入って？」
ママの声。
「失礼します。」
中に入ると、年配の男性とママが座っていた。
「この子がお話ししたAです。どうですか？」
ママにそう言われ、男性は私の全身を品定めするかのように見ている。
何なんだろう…
「うん。いいね。容姿も申し分ない。」
「フフ。そうでしょ？この子なら私も自信を持って紹介出来ますから。Aちゃん？いきなりだけど、この方のお仕事を引き受けて貰いたいの。これは、あなたにとっても、物凄くいい話よ？」
「…仕事ですか？」
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
