俺じゃダメですか? (ページ14)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:26,282 hit

14話ページ14

(F side)

仕事終わり、ちゃんと気持ちを伝えようと思った俺はたまとのじかんを作った

「玉、ごめん。俺―」

「わかってる！ガヤは、みつがすきなんだよね？」

「…ごめん」

なんでもおみとおしのような玉に驚きながらも、俺は謝ることしかできなかった

「俺、最低だよな…。俺からこくといて」

「ほんと、そうだよ」

「……」

「だけど、好きな人の幸せを奪ってまで自分のものにしたいなんて、そんなの本当の
　恋愛じゃないじゃん？」

「たま…」

随分としっかりした答えに、玉の成長を感じた。

そう、俺が好きだったころの幼いたまはとっくにいなくなっていたのだ

「だから…っ…だから…」

そうはいっても一度は気持ちが通じ合った俺ら

やっぱり、くるしいよな…

これは俺の、彼氏としての最初で最後の役目

「たま、我慢しなくていいから。俺にぶつけて？」

そういってたまを抱きしめた

「うう…すき、すきだよ、がや…っ」

純粋でピュアで、こんなたまを傷つけてしまった罪悪感を抱きながらも

なんだかすっきりしているじぶんがいる

やさしくたまを撫でながら心の中で玉をおもってすごした長い年月を思い浮かべた

「ふふ、キング独り占めしてる気分」

いつのまにか泣き止んで晴れ晴れした顔のたまに冷やかされるようにそういわれれば

「気分、じゃなくて、ひとりじめしてるんじゃん？」

対抗するようにそういった

それに恥ずかしくなったのか

「もう…//」

そういってまたうつむいてしまった

「ありがとね、ちゃんと、好きだったよ」

そう伝えると驚いたように顔を上げたたま

「こちらこそ、ありがと」

そういって、どちらからともなく唇を重ねた

「ちゃんと幸せにしてあげなよ」

「あたりまえ。まかしとけ！」

この言葉は、裏を返せば

―これからはメンバーとしてよろしく―

そういうことだとおもってる

これを機に俺らは恋人という関係に終止符を打ち

新しい恋愛へと踏み出していった。