中堂さんの妹。【3年A組】lll

episode80 ページ15

「ごめん、香帆。ごめん、皆。


1番信じてなかったのは私だった」






これまでの自分が人として最低だった気がしてならない。



やっと友人と呼べる様な存在の人までできたくせに



なにが言ったってしょうがないことだ。







後悔の念が自分の胸中に響く。





「なんであんたが謝んのよ

なんであんたがそうやって泣くんだよ」




唐突に聞こえた声に全員が視線を向ける。



諏訪だ。




「私はあんたの事が嫌いだった。

誰にも屈しないし、一人でいることに怯えてない

所詮私なんかモデルって肩書きに執着してるだけなんだって言われてるみたいですごく目障りだった




……高瀬事件の被害者関係者？

そんなこと聞いたら私はあんたをどうやって見たらいいの？

ただの目につくクラスメイトで居てもらわなきゃ今までの私の態度も悪態も全部意味無いじゃん！


馬鹿みたいっ、1人で全部背負ってそれで生きてくことがカッコイイとでも思ってた訳？



私の予想何かよりよっぽどあんた馬鹿だわ




今更言われたってどうしろってんだよ…

なんで隠してきたんだよ！



あんた馬鹿だよほんとっ！」





「諏訪……」





「ただの目につくクラスメイトで居てよ！


じゃなきゃ私だって馬鹿みたいになるじゃん！




……あんたのこと、素直に認めちゃうじゃん」





激しくぶつけるような言葉とは裏腹にさっきまでの威勢とは完全に違う表情の諏訪。




その目には涙すら含んでる。





「A、」



「なに、？」




「お前は最初から1人で全部背負う必要なんてねぇんだよ。


景山を追い詰めてしまうようなこのクラスに言われたって信用ならねぇのかもだけど、少なくとも俺だって居ただろ？


お前は全て話したから俺に救われたって言ったけど俺はなんもしてねぇよ。



何も出来なかったんだよ！


だから頼れよ、甘えろよ。


弱音吐いて前に進めばいいだろ？



強がる必要なんてねぇんだよ」






「っ、ｳｯ…なんで、」




泣きじゃくる私の頭を甲斐は無言で撫で続け、香帆やさくら、諏訪も私と同じように涙を流した。









私はあの日以来自分の中で全てが止まってたんだ。


夕稀子さんが居なくなってから世界が一変した。



それから失うものが最小で済むように自然に人から避けてたんだ。








強くなりたい。



強くなったら、





不条理な死を止められる。









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