【文豪】折れることを知らない翼【ストレイドッグス】 (ページ2)

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「虎を見たことはあるのか？」

「いいえ、虎自体を見たことは1度も有りませんわ」

先程出会った少女を連れて太宰のもとへ向かう。
一体どこまで流されていったのだ。沈んでいる可能性もあるが、彼奴のただならぬ生命力を知っているが故に阿呆みたいに浮かんでいる姿しか想像出来ない。

「あら……ねぇ先生、あちらの方は先生のお知り合いでは無いかしら？」

少女の指さす方向にはずぶ濡れの太宰と見知らぬ少年が何かを話していた。
何しているんだ彼奴は!!

「おぉーい!!

こんな処に居ったか唐変木！」

「おー、国木田君ご苦労様」

何がご苦労様だ。少女も彼の変人ぶりに驚いたのか川の向こう側を凝視している。
太宰に向かって文句をぶつけるが彼方はてんで聞く気がない。なんという奴だ。

「良いよ、国木田君に30杯くらい奢らせよう」

「俺の金で太っ腹になるな太宰！」

殺す。絶対に殺してやる……!!
俺の隣では小娘が口元を押さえ、必死に笑いを堪えている。なんという屈辱だ。

「小娘っ……」

「奢ってあげましょうよ先生。

彼、相方さんと一緒に居るということは虎について何か知っているのかも知れません」

子どもを諭すように微笑む少女に圧倒された俺はやむ無く彼らに飯を奢ることになった。