My Funny Valentine

Stay that way きみとしんご2 ページ7

缶ビール1本空けたところで
おーくらは風呂に。
マルは洗いもんするってキッチンへ。

｢そろそろおいとましよか｣
信五が俺の顔を見る。
もうちょっといたいのになぁ、なんて思ってたら
｢バレンタインやで？長居は野暮やろ？｣
コショコショ耳打ちされた。

あ。せやな。
今日はバレンタインやもんな。

｢ほな、ごちそうさん｣
｢ありがとうな｣

立ち上がって玄関向かうとマルが見送りに着いてきて
｢はい、これ｣
紙袋渡してくる。
｢ん？なぁに？｣
｢あぁ、バレンタインやから。チョコ。ふたりでどうぞ｣
｢ええのに、飯まで食わせてもらって悪いやないか｣
｢ここ越すのにお世話になったし
いつもいろいろ差し入れてもらってるやないの｣

ホンマ、よくできた嫁になって。

｢じゃぁ、遠慮なく頂いてくな｣
｢おん。ちょっとやけどね｣
｢ほな、おーくらによろしゅうな｣
｢おやすみ｣
｢おやすみなさい｣

パタンとドアを閉めるとひんやり冷えた廊下。
すぐ上に上がるだけやからコート着ないで出てきた。
信五は部屋着やし急に寒さが染みる。

｢さぶっ｣
｢寒いな｣

珍しく信五から俺の腕にピッタリくっついてきた。
まぁ、ここはセキュリティーもしっかりしてるし
芸能人カップルが多く住んでるから万が一見られても
口外されることはまずないやろうけど
それでも滅多にないことやから。

｢どしたん？｣
って聞いたら
｢たまにはええやろ？｣
照れてんのかソッポむいたまま。

くっついたまま階段上がって
廊下は手ぇ繋いで歩く。
横目でちらっと覗いた信五の顔が
嬉しそうに微笑んでる。

あぁ、俺やっぱり幸せやんな。

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