少しだけ しんご2 ページ32
｢ただいま｣
なんでか知らんけどここんちの玄関開けるときは
他の言葉やなくて｢ただいま｣って言ってまう。
｢おかえり。ご飯まだやろ？｣
キッチンから聞こえる声はこれまた当たり前のように答えてくれる。
｢おうどんでええ？｣
｢おん。ありがと｣
定位置に座って待っていれば
トレーに冷しうどん乗せたマルがニコニコとやって来る。
｢ビールは？｣
｢後にするわ｣
｢ん。ほな、食べましょ｣
｢手ぇ合わせてください｣
｢いただきます｣
マルのご飯は優しい味がする。
しっかりお出汁をとったおつゆ。
有り合わせやで、とは言うけど
ちゃんとこさえた感じがする。
｢美味いな｣
｢そぉ？良かった｣
俺が食べてるんを見て優しく笑う。
なんやろぉなぁ。
こいつの側におると安心すんねん。
きみとおるのとは違う心地よさ。
大袈裟かもしれんけど
たぶん頭のなかが繋がってんねん。
泣きたい時はお互いセンサーが働く。
やから、今日も。
他愛のないこと喋りながら
おうどん食べて出してくれたビールを飲む。
最近断酒してるマルは麦茶でやけど。
｢信ちゃん、無理したアカンよ｣
｢無理なんかしてへんで｣
｢ベソかいとったくせに｣
｢かいとらんもん｣
ムキになって答えると
またフワンとした顔で笑った。
｢信ちゃん、時間は作らな｣
口許は笑っとるけど目ぇが真剣。
こぉいうときのマルは確信をついたことを言う。
｢忙しいせいにしたらアカンよ。
ホンマに会いたくて仕方ないなら寝ずに待っとったらええし
スケジュールやってどうにかなんねん。
楽屋おるときも照れとらんで
側におったらええんよ。
信ちゃんのことやからゆうちんの負担になるって
時間無理に合わせようとせぇへんやろ。
きっとゆうちんも同じこと考えてん。
それでお互いベソかくんなら、
ちょっとでも無理したらええねん。
遠慮なんてせんで、ワガママ言うてみれば？｣
・・・。わかっとる。そんなこと。
｢でも・・・｣
｢でもやあらへん。せな｣
だいじょうぶ。
そう言って目ぇもくしゃっとさせて笑った。
｢はい｣
なぜか素直に返事をしてる自分が可笑しくて
つい、俺まで笑ってもぉた。
｢信ちゃん、可愛いっ｣
ぎゅむっと抱きつかれて
｢暑苦しいわ、アホっ｣
言い返したけど心地ええ。
柔かなマルの体は心まで柔らかくする。
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cayochi(プロフ) - こおあさん» わぁぁ！ありがとうございます。随分前に書いたものをよんでも頂いているなんて、作者冥利につきます！最近エイト兄さんのお話が少なめですが18祭もありますし、再燃すると思いますので気長にお待ちいただけたら嬉しいです (2022年6月20日 19時) (
レス) @page2 id: ebdbe7a05a (このIDを非表示/違反報告)
こおあ(プロフ) - 春色が好きで定期的にみにこさせてもらってます！ヨコヒナ最近少ないので素敵な小説が読めて幸せです！ (2022年6月20日 6時) (レス) id: ef19d181f3 (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - こおあさん» ありがとうございます！超亀更新ですが、よろしくおねがいします (2022年1月9日 17時) (レス) id: ebdbe7a05a (このIDを非表示/違反報告)
こおあ(プロフ) - 素敵小説でにまにましました、これからも応援してます！ (2022年1月9日 11時) (レス) @page44 id: ef19d181f3 (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - (名前)ゆーきゃんさん» 信五さんの髪の毛、意外と触り心地良さそう。ヨコヒナは幸せ案件です！ (2020年5月10日 21時) (レス) id: 89ed3d2d70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cayochi 
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年4月9日 4時
