廻る きみたか ページ27
夢を見た。
ぼんやりと覚えているのは
断片的なふたつの場面だけ。
ひとつは
年老いた俺がベッドに寝かされていて
多分もうすぐにあの世へ送られるとこなんやろ。
家族と思われる人達が俺を取り囲んで泣いている。
今とは違う病室の雰囲気。
多分、少し前の時代なんやろな。
少し離れたところで一人の女性が俯いてる。
着物姿の後ろ姿。
顔は見えないけれど、俺と同じくらいの年なんやろ。
何も言わずにただ静かに立ちすくんでた。
側に青年が寄り添っている。
｢こっち、来てや｣
俺はその女性を側に呼んで手ぇ握った。
｢待ってるで。でも急がんでええ｣
そう言うと目を閉じた。
その人は俺の手ぇをぎゅっと握って
｢はい。待っていてね｣
優しい声でふんわり微笑んだ。
俺も微笑んで、多分事切れた。
ふたつめは
もっともっと前の時代。
時代劇に出てくるような街並み。
遊郭言うんやろな。
そんなかにいる俺はなぜか女やった。
豪華な衣装を着て気怠そうに煙管を吹かしてる。
まわりのもんは俺の機嫌を伺っているけど
全く取りつくシマもなく
ただぼんやりと物憂げにしてるだけ。
トコトコと幼女が側にきて
俺に何かを耳打ちした。
幼女の頭をそっと撫でて
ハラリと涙が落とした。
｢・・・さん・・・｣
誰かの名前を呟いてそっと涙を拭いた。
厚い化粧が崩れるまでもない
ほんの少し。
誰にも気づかれんくらいの涙を落として
俺はまた気だるそうに煙管を吹かした。
｢また、きっと｣
真っ赤な紅さしたくちびるが小さく動いた。
たったこれしか覚えていないのに
目覚めた時、俺はなぜか泣いていた。
ちょうど寝室に入ってきた信五が
不思議そうな顔してる。
｢きみ、どうしたん？｣
｢夢、みとった｣
するん、と俺の横に入って
信五が俺を抱き寄せる。
大丈夫や。
また会えたんやから。
なぜかそんな思いが頭をよぎった。
トントン、とあやすように背中叩かれてるうちに
また眠たくなってきた。
信五はいつでも懐かしいような匂いがする。
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cayochi(プロフ) - こおあさん» わぁぁ！ありがとうございます。随分前に書いたものをよんでも頂いているなんて、作者冥利につきます！最近エイト兄さんのお話が少なめですが18祭もありますし、再燃すると思いますので気長にお待ちいただけたら嬉しいです (2022年6月20日 19時) (
レス) @page2 id: ebdbe7a05a (このIDを非表示/違反報告)
こおあ(プロフ) - 春色が好きで定期的にみにこさせてもらってます！ヨコヒナ最近少ないので素敵な小説が読めて幸せです！ (2022年6月20日 6時) (レス) id: ef19d181f3 (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - こおあさん» ありがとうございます！超亀更新ですが、よろしくおねがいします (2022年1月9日 17時) (レス) id: ebdbe7a05a (このIDを非表示/違反報告)
こおあ(プロフ) - 素敵小説でにまにましました、これからも応援してます！ (2022年1月9日 11時) (レス) @page44 id: ef19d181f3 (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - (名前)ゆーきゃんさん» 信五さんの髪の毛、意外と触り心地良さそう。ヨコヒナは幸せ案件です！ (2020年5月10日 21時) (レス) id: 89ed3d2d70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cayochi 
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年4月9日 4時
