どうにもこうにもイギリス人 ページ6
鋼のような筋肉に覆われたその身体。
神経質に撫で付けられた金髪。
知り合いだったのか、アーサーにエスコートされるAが小さく声を上げた。
「なあ、ルート。お前も祝福してやれよ」
ニヨニヨと笑うギルベルトとは対照的に、彼の弟は般若のような表情をしていた。
まぁ、そんな事に動じるイギリス様ではないが。
ルートヴィッヒは、忌々しそうに鼻を鳴らした。
「兄さん、勘弁してくれよ。菊がこいつをどんなに大切にしていると思っている? 俺はAが小さい頃に何度か会っているんだ。どうしてもアーサーなんかと彼女を祝福することはできない」
「おい、ルートらしくねーな」
「兄さんだって人の恋路に口を挟むような人じゃないだろ」
……なんか、だと。
兄弟が繰り広げる会話に、アーサー•カークランドは激しく苛ついていた。
彼の隣のAが不安そうに組んだ腕をぎゅっと引っ張った。
__ああわかってるよ。
俺は紳士だからな。
彼は碧眼でAを見下ろし、ニッと微笑みかけた。
そして兄弟に向かって皮肉的な口調で話し掛ける。
「おい、そこの兄弟よ。こいつが菊に懐いていると思うか? 良いか、Aは菊なんかよりもずっと俺の植民地になりたがってるぜ」
「……アーサー!? そういう約束じゃないはずだよっ」
Aが目を見開いてアーサーを見た。
だが、彼は彼女の腰をくいっと引き寄せてそれを諌めた。
ついでに耳元でせいぜい魅惑的に聞こえるように囁いてやる。
「まぁ、今のはものの例えだよ。約束通り独立させてやるから、まあ心配すんな」
「……絶対よ?」
流石に紳士のフェロモンには堪えきれなかったらしい。
Aは言葉をぐっと飲み込んだ。
アーサーは頷くと、目を細めてルートヴィッヒを見据えた。
「ジャガイモ野郎、菊に伝えとけ。お前の妹は俺が貰ったってな」
「アーサー、お前俺様の弟に言い過ぎじゃね……」
「A、行くぞ」
出来るだけギルベルトとは面倒なことになりたくない。
アーサーは組んだ腕に力を込めてさっさと歩き出した。
早く菊の耳に届けたいから、出来るだけ人の目に付くように。
Aが困惑の声を上げた。
「アーサー、あんまりそういうこと言うと私菊の所に帰れなくなっちゃう……」
「は? お前俺の所に来るんじゃねーの?」
「……え?」
「え?」
碧眼と真黒の瞳が互いに合った。
Aは改めてアーサーの肌の白さを知る。
薄い唇に細くて高い鼻筋、少し薔薇色に感じられる頰も。
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夏(プロフ) - 続き気になります!面白いです!アーサーさんもかっこいいなぁ♪^^更新待ってます♪ (2016年3月2日 16時) (レス) id: e9bb4d3c3e (このIDを非表示/違反報告)
麗姫(プロフ) - 狂犬★兵部京介と白澤が心の拠り所(要は遊佐好き)さん» 言い訳みたいになるんですけど、なんか日本語で冠詞をつけてまで喋ったらくどくなるんで、さらっと言いやすい感じにしました。ご注意どうもですXD (2015年8月8日 18時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
狂犬★兵部京介と白澤が心の拠り所(要は遊佐好き)(プロフ) - 『き も い で す か』の「old man」は「夫」という意味ですが、恐らく老人というような意味で使われたのでは…?その場合、「老人」は「an old man」ですよ。夫という意味でold manを使ったのでしたらすみません。 (2015年8月8日 16時) (レス) id: 2d3bfd809c (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - イギリスさん» 遅れてごめんなさい。イギリスさん色んな作品にコメント下しましたよね? 滅茶苦茶嬉しいです♪>-<* 頑張ります! (2015年5月24日 16時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - ももさん» 全然大丈夫ですよ〜^-^ やっぱりアーサーはゲスじゃないと← (2015年5月24日 16時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2015年1月23日 2時