余計なことを言わないで ページ39
「ハク……」
「さぁ、説明して貰おうか」
ハクは舌打ちをして、美影さんを忌々しそうに睨んだ。とても穏やかに説明を聞くとは思えない。
美影さんはゆったりとした動作で立ち上がり、腕を組んで壁にもたれかかった。1人だけ座っているのもいたたまれないので、私も2人から少し離れた場所に立ち上がった。
「……」
何と言えば良いのか分からなくて、私は黙り込んだ。
先程ハクが千尋とキスしていたことを送っての今なのだ。何を言っても言い訳がましく聞こえる気がして言葉を口に出来ない。
ハクの瞳がすっと細くなった。
「黙っているのは、心が完全にカオナシの野郎に向かっていると考えて良いのかな」
「それは違う!!」
大きな声で叫ぶと、ハクはほう、と片眉を吊り上げて見せた。
「そんな即答されると傷付く」と美影さんが隣でぶつぶつと言っていた。だけど気にしない。
「私は、本当にハクが好きよ。だって川に落ちた時私のこと助けてくれたのは、他の誰でもないハクなんだもん」
「それでもカオナシと口付けするんだな」
「いや、あれは美影さんが無理矢理やったのよ! 美影さんという名のキス魔が!」
「人のことキス魔とか」
「ほう……ではAの意志ではないんだな?」
「もちろん!」
美影さんが不満そうな顔をしているけれど、今はそれどころではない。
少しだけ、少しだけハクの怒りの色が薄れてきたように思えた。ハクは、背を屈めて私の額に自身の額をこつんとぶつけてきた。翡翠色の瞳に、至近距離でじっと見つめられる。
「A……お互い様だとはいえ、私は悲しいぞ?」
……もうほとんど怒っていない。このままいけば、ハクの機嫌は良くなりそうだった。
そのことにほっとしつつ、至近距離である事に照れて2つの翡翠から目を逸らした。
「ごめんなさい……」
「……まぁ、今回のことは私も悪いんだし、仕方ないとしよう。これからまた2人で仲良くやっていこう」
「うん」
ああ、近くで見ると余計にかっこいい私の彼氏……今更ながらドキドキしちゃいそう。
ハクは薄桃色の唇を弓なりに曲げて微笑んだ。私もつられてふふっと笑ってしまう。その時だった、いきなり後ろから肩を抱き寄せられたのは。
「ハク、僕がAにキスしたのはあんたが見ている時だけじゃないんだよ?」
「は」
「あれは2回目だったって……知ってた?」
美影さんは、勝ち誇ったような笑みをハクへと向けた。穏やかになっていた翡翠の瞳に再びさざ波が走ってゆく。
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美音 - なんだろう…美影さんを内山昂輝さんの声で再生してしまうの… (2022年1月10日 7時) (
レス) @page33 id: c6a6e435a8 (このIDを非表示/違反報告)
サリナ(プロフ) - 季紀さん» この書いた作品全てを消して悪女が出る作品を書いてください！m(__)m (2018年4月4日 17時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - 感動しましたので一度この作品の削除(変換)して夢主とハクが結ばれる作品を書いてくださいませんか？お願いしますm(__)m (2018年3月28日 10時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 紫蘭さん» はい、してます！笑 というかばり白澤様です笑 (2017年1月23日 9時) (レス) id: e2d49320a9 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 間違いだったらすみません……。白澤様がどうして『鬼灯の冷徹』の白澤様にしか見えません(´；ω；｀)← もしかしてモデルにしてますか！？ (2017年1月21日 23時) (レス) id: 4fa9a25ace (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2014年12月28日 22時
