煙は苦い ページ26
灰色の煙に視界が霞んだ。
私は顔をしかめて彼を見た。
「白澤様って煙草吸う方でしたっけ」
「いいや?」
相変わらず狐のように妖艶な笑顔を浮かべて、白澤様は薄い唇からキセルを離した。むわんと苦い香りが鼻孔に張り付く。
やだな。
「煙草の匂いは女の子にウケないから、普段は吸わないよ」
「私は女の子じゃないってこと?」
軽口を叩いてわざと眉をしかめてみせると、彼は灰皿の上にキセルを置いて私の肩を抱いた。細長い角ばった指が肩を捕まえる。もう片方の手でつつ、と顎筋をなぞられた。
「僕は(人1)ちゃんのこと、ちゃァんと1人の女として見てるよォ?」
「スケベ」
「ほら、顔逸らさないで」
「……煙草臭い」
「大人の香りだよ」
無茶苦茶な理屈をつけて、肩に置かれた手が徐々に下へ伸びてきた。いやらしく腰を掌で擦られる。……最近聞いたけど、白澤様って確かかなりの歳じゃなかったっけ?
私は溜息を吐いて露骨に顔をしかめた。
「最近白澤様こういうことやってきますよね」
「だって、(人1)ちゃん最近変わったじゃん」
「……太ったって言いたいのなら怒ります」
「違うよォ。どこか色っぽくなった」
「!」
つつっと背中を人差し指でなぞられた。元来こちょこちょには弱いので思わずびくりと跳ね上がってしまう。
……決して、性的な意味ではなくて!
彼は私の様子を見て満足そうにくすくすと笑いだした。
「あーハクのお蔭で感度まで磨かれちゃってるね」
「ちょっ……そういうのじゃない!」
顔が一気に上気して、私は勢い込んで白澤様の胸を思いっきり掌で突いていた。本来お客様にこういうことをしてはいけないのだが。
彼の身体はぐらりと傾いたが、慌てて手を突いてなんとか乗り切っていた。
「もう、女の子がそんな乱暴だったら駄目だよー」
「……さっきは女の子じゃないとか言ってたくせに」
「あ、そういえば知ってる? きっと聞いたら驚くこと」
聞いたら驚くってことは知らないだろ。
「向こうの世界では、(人1)ちゃんは本来何歳になっているでしょう」
「いきなりですね」
「まぁまぁ。どれくらいだと思う?」
やけに引き延ばしてくるので、こっちの世界に来てからの時間をざっと計算してから口を開いた。
「もうすぐ16ってとこですか?」
「ブッブー。正解は18でした」
「18!?」
思わず驚いて濃い茶の瞳を凝視した。
どう考えたって変だ。この世界に来てからまだ半年弱の時間しか経っていない筈なのに。
現に、それ程身体的成長もないし。
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美音 - なんだろう…美影さんを内山昂輝さんの声で再生してしまうの… (2022年1月10日 7時) (レス) @page33 id: c6a6e435a8 (このIDを非表示/違反報告)
サリナ(プロフ) - 季紀さん» この書いた作品全てを消して悪女が出る作品を書いてください!m(__)m (2018年4月4日 17時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - 感動しましたので一度この作品の削除(変換)して夢主とハクが結ばれる作品を書いてくださいませんか?お願いしますm(__)m (2018年3月28日 10時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 紫蘭さん» はい、してます!笑 というかばり白澤様です笑 (2017年1月23日 9時) (レス) id: e2d49320a9 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 間違いだったらすみません……。白澤様がどうして『鬼灯の冷徹』の白澤様にしか見えません(´;ω;`)← もしかしてモデルにしてますか!? (2017年1月21日 23時) (レス) id: 4fa9a25ace (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2014年12月28日 22時