例え不幸を呼んでも ページ13
こんな綺麗でかっこいい男の人に抱き締められたら、もう何でも彼の言う通りの気がしてくるよ。
私は目をハートにしてハクを見つめた。
「うん、ハクが言うならそうかも……」
「そこ、違うだろっ!」
美影さんにツッコミを入れられた。
……昼間喧嘩した人にそこまで言われたくないんですけど。
唇を尖らせた時、美影さんがつかつかと私の前まで歩み寄ってきた。そして、いきなり長身の身体を折りたたみ私に頭を下げた。
「昼間のこと、ごめん」
「え」
癖の掛かった黒髪が夜風に揺れる。普段前髪に隠れて見えない額がちらりと覗いた。
「カオナシの野郎、Aが嫌がることでもしたのか?」
「僕、どっかの竜に頭下げてる訳じゃないから。抱き枕みたいにずっとAのこと抱き締めて、どっかの幼子みたいだね」
その言葉を聞いて私を片腕で抱き締めるハクの気配が一気に険しくなった。見なくても分かる。きっと彼は私を平手打ちした時のレベルで機嫌が悪い。
腕の力は弱まるどころかますます強くなり、よってハクに更に密着することとなった。おかげで美影さんを振り返ることができない。
「……えっと、美影さん。私も悪いんでもう良いです。これからはいきなり意味深なこと言って困らせないでくださいね」
この体勢で言うべき言葉ではない気もするけれど。
美影さんが顔を上げた気配がした。
すると、足音がして彼がハクに近付き、何かを耳打ちした。耳をそばだててみるが、それは聞こえない。抱き締められていても辛うじて2人の喉元くらいまでは見える。その言葉を聞いたハクがチッと舌打ちをした。
「もう1回言ってみろ、本当に殺してやるからな。さっさと失せろ」
……ハクさん、何をそこまで!?
必死にハクの胸から顔をずらし見上げてみると、美影さんが静かな表情でハクを見据えていた。ハクも細い眉を吊り上げて凄い形相で睨み付けている。美影さんが先に目を逸らし、最後に口の端を軽く上げて私を見た。
その表情に嫉妬めいたものが入り混じっていた気がして、私は困惑した。
私は少女漫画の主人公のようにイケメンに取り合いされるようなキャラではない。花より男子とか憧れるけど、実際にそんな状況が完成することはないのだと知っていた。
美影さんだって、ただ単にハクが嫌いなだけだろう。
勝手な妄想で思い上がっちゃいけない、と自分に言い聞かせた。
***
(「――あんたの彼女、全力で奪いにいくから」とか)
(……何であんなこと言っちゃったかなぁ)
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美音 - なんだろう…美影さんを内山昂輝さんの声で再生してしまうの… (2022年1月10日 7時) (
レス) @page33 id: c6a6e435a8 (このIDを非表示/違反報告)
サリナ(プロフ) - 季紀さん» この書いた作品全てを消して悪女が出る作品を書いてください！m(__)m (2018年4月4日 17時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - 感動しましたので一度この作品の削除(変換)して夢主とハクが結ばれる作品を書いてくださいませんか？お願いしますm(__)m (2018年3月28日 10時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 紫蘭さん» はい、してます！笑 というかばり白澤様です笑 (2017年1月23日 9時) (レス) id: e2d49320a9 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 間違いだったらすみません……。白澤様がどうして『鬼灯の冷徹』の白澤様にしか見えません(´；ω；｀)← もしかしてモデルにしてますか！？ (2017年1月21日 23時) (レス) id: 4fa9a25ace (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2014年12月28日 22時
