思い出のたられば ページ32
「正直、本当に身籠っていたのなら湯婆婆に逆らってでもそなたを娶ろうと思っていたのだけれど……赤子がいないと分かった今、それももう終わった話だ」
初めて語るハクの本音を聞いて驚いた。そんな風に考えていたのか。……じゃあ、私がもし本当にハクの子供を妊娠していたら……いけない。「もし」「していたら」そう考えると限がない。想像するのは悪いことではないけれど。
結局、妊娠疑惑が払拭されて得たのはちっぽけな安心感と孤独な解放感だった。美影さんは喜ぶだろうが。
「とにかく、赤子がいないのなら私達の間には記憶を共同しているという以外の繋がりはなくなってしまったんだ。……それに、もしかするとこれは今後の為に良いのかもしれない。私の身体は既に現世ではなくなっているし、この世界に留まることで命を長らえさせている偽りの存在なんだ。もちろん、そなたと出逢って恋をしたのは偽りのない現だけどね」
自信に言い聞かせるように話すハクの笑顔は酷く悲しげで、私は声を上げて泣き出したい気分に襲われた。でも、そんなことをしても何も変わらないと分かっているから喉の奥を締め付けてぐっと堪える。
「美影と婚約するんだろう」
「……ハクだって「婚約した」でしょう」
ハクが初めてカオナシでなく美影と呼んだ。
私が言い返すと、彼はまぁそうなんだけどと言って口の端を無理矢理上げるだけの笑みを浮かべた。
「ごめんね。理由は話せないけれど、千尋と婚約するのには理由があるんだ」
「……湯屋を継いでお金持ちになりたいの?」
「へぇ、皆そんな噂をしているのか」
何故か、私のいじけた返答にも今日の彼は怒らない。それが逆に怖かった。
ああ、少しずつ彼との絆の糸が細くなってゆく。これ以上話す程脆いより糸に変わっていって、やがてはぷつんと切れてしまう。
彼が、遠くなってしまう。
「いけ好かない奴ではあるが、美影はそなたを本当に大切にしている。盲目と言っても良いくらいだ。……美影に幸せにして貰いなさい」
「美影さんのこと、認めたんだ」
「……ああ」
そんな言葉、貴方の口から聞きたくないよ。
ハクは複雑な表情で頷き、最後に私の肩に手を回した。決して想い人を抱き寄せるようなものではなく、外国人の軽いスキンシップに似ていた。
「そなたに逢えて良かった。短い間だったが、千年と生きてきた中でそなたが一番愛した女だ。そして、きっとこれからも」
いけないと思っているのに目頭がじわりと熱くなってきた。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
