迷い ページ15
『じゃあ、僕がパパになるよ』
美影さんの言葉に私は凍り付いた。
ぱ、ぱぱって。
「……え、それって……」
「まだ言わなきゃ駄目?」
彼は頬をほのかに赤くさせた。私は戸惑って、ベンチの横に立っているリカさんへ目で助けを求めた。でも彼女は見守るように微笑むだけで、何も言ってくれない。
と、両頬を2つの手に挟まれ、ぐいと美影さんに向き直させられた。
「ちゃんと聞いて」
「えっ……ふぁ、ふぁい」
今度は頬に触れられているせいで上手く話せない。真剣に、造詣の整った美影さんの顔に見つめられる。意外と下睫毛が長い。それに、唇の湾曲したラインが綺麗だと思った。
どうしよう、こんなにじっと見つめられると照れてしまう。私さっき泣いたばかりだから変な顔になってないかな。
「A。僕と結婚前提で付き合って下さい。それで、一緒に子供も育てよう」
真黒の瞳に射抜かれるかと思った。
私は混乱してぶんぶんと首を振る。
「駄目ですよ! 妊娠してるかもしれない女なんて重いでしょう? 後から絶対に後悔しますって」
「僕のAへの気持ちがそんなものだと思うの?」
美影さんの声には少し怒りの色が滲んだ。怒らせてしまったかと思い、私は慌てて付け足した。
「いや、そういう訳じゃなくて、何だか私が申し訳ない――」
「私は良いと思うわよ」
凛とした、柔らかい声が場を割った。私は美影さんの肩の向こうを、彼は振り返って声の主を見る。リカさんがふふ、と笑っていた。
「(人1)にはハク様と結ばれて欲しいと思っていたけれど――……(人1)に必要なのは、今、この時すぐ傍にいてくれる人だもの。私、2人は結構お似合いだと思うよ」
「ね、リカもそう思うでしょ!?」
美影さんが嬉しそうに笑顔になってこくこくと頷いていた。リカさんも微笑んで私達を見ている。
場の空気は私と美影さんが付き合う方向へと推し進められている。
……本当にこれでいいの?
胸の奥で誰かの声がした。
――ハクだって、まだAのことが好きかもしれないよ?
……そうだったらいいけど
――このままじゃ千尋にハクを取られちゃう
……ハクが千尋を好きなら仕方ないわ
美影さんは良い人だ。たまに驚く程ムカッとすることをしてくる時もあるけれど、本当は凄く大人で私のことを大切に考えてくれている。どんな感情も率直に行動に表すけれど、その分素直ということだ。
こんな良い話きっともう無い。それに、私だって美影さんのことは好きだ。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
