泣きそう ページ12
「……A!」
不意に美影さんがベンチから立ち上がった。驚いて顔を上げると、彼はつかつかと座っている私の前へ歩み寄り、膝を突いた。いつも長身の彼の低い姿勢に戸惑う。
真摯にじっと黒い瞳が私を見つめる。
「ねぇ、僕は少しでもAの支えになりたいと思っているよ。悩んでいることがあるのなら、僕に何が出来るかは分からないけれど聞くことによって力になれるかもしれない。ねぇ、話してくれないかな」
「……」
「僕じゃダメ?」
優しい言葉を掛けられて、精神が不安定になっているせいもあってかついに涙が堰を切った。私は慌てて目の渕から溢れだした涙を拳で隠すように拭った。
やだ、かっこ悪い。
「い、言えないです……ッ聞いたら、きっと、私のこと嫌いになる……っ」
「何言ってんの、ずっとAのこと見てきたんだからちょっとやそっとのことで嫌いにならないって」
「ちょっとや、そっとのことじゃない……」
今は優しい美影さんだって、私が妊娠しているかもしれないと知ると呆れてどこかに行ってしまうかもしれない。いや、きっとそうだ。だってこの歳で妊娠したなんて最悪だ。
出て欲しくないのに、涙が次々と零れ落ちてきて私の頬を濡らす。ああ、もっと可愛く泣くことが出来たら。ティッシュがこの世界にあれば良かった。
と、ついに見兼ねたリカさんが口を開いた。
「(人1)ね、妊娠してるかもしれないの」
「……妊娠ッ!?」
思いもよらなかったのだろう、美影さんが黒い瞳を大きく見開いた。形の良い鼻梁に皺が寄る。
ばれちゃった……
涙が止まらない私を置いてリカさんが話を続けた。
「吐き気もあるし、生理が2ヵ月来ていないんだって。だからここ最近は不安で堪らないのよ」
「……えぇ……」
美影さんはリカさんの言葉にゆっくりと頷いたまま、私に視線を移した。彼だって大人の男の人だから、私のしでかしたことの馬鹿さを理解しただろう。今だって呆れているに違いない。
……あーあ、せっかくこんな優しい人が好意を寄せてくれていたのに、嫌われちゃったなぁ。
私は気まずくなって彼から目を逸らした。
「――辛かったね」
ふわりと、肩を温かい身体に包まれた。ゆるい癖の掛かった黒髪が私の頬に触れている。
見ると美影さんは片膝を突く姿勢のままで私を抱き締めていて、目線の高さが一緒だった。耳元で薄い唇が呟く。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
