君に救いを、己に罰を【wrwrd 】 (ページ8)

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Aside

緑のパーカーを着てフードを目深に被っている奴が俺に銃を向けている。

その両脇には剣をこちらに突き付けている二人。

「……大人しく付いてきてもらうで。」

銃を向けている奴がそう言ったので、俺は素直に両手をあげて無抵抗をアピールする。

そもそも、俺は彼らに危害を加えるつもりなどない。

……それなのに、ぴくとが俺の前へと庇うように出てきてしまった。

「ゾムさん、銃を下ろして。」

「ぴくとさん、そいつは侵入者や。」

「それ以前に僕の知り合いなんです。」

お互いに一向に譲らずに拮抗状態。

さすがに耐えきれず口を出してしまった。

『ちょ、俺素直に着いていくから。大丈夫だよ、ぴくと。ゾムもそんなに睨まないで…』

ゾム、と言ってしまった瞬間、しまったと思った。

だって相手は俺を知らない訳で。

なぜ、俺が名前を知っているのか、しかも呼捨てされるとなるとかなり警戒するだろう。

ほら、現に。

「……ほーん、ゾムのこと知っとんか。これはクロやろ。」

「せやな。それ以外ありえへんやろ。」

剣をこちらに突きつけている二人がそう言った。

これはまずい、どう切り抜けるべきなのか…。

考えを巡らせていると、ふいにオオカミがこちらに飛びかかってきた。

突然のことで避けれずに、そのままオオカミに押し倒されてしまう。

やばい、食われる……！

そう覚悟して目を瞑るが、噛まれた感触が一向に来ない。

恐る恐る目を開ければ、オオカミは熱心に俺の匂いを嗅ぎ、ペロペロと舐めていた。

「……イフリート？」

ゾムが不思議そうな声をあげる。

……こいつ、イフリートなのか。

イフリートは前世のゾムの相棒だったオオカミ。

ならば、話が通じるかもしれない。

俺は瞳を黒色に変えて、イフリートに話しかけた。

『……イフリート、お前俺を覚えているのか？』

《うん！今思い出したよ！A兄だよね？》

『イフリート……！！』

イフリートが俺のことを思い出してくれた。

それが嬉しくて思わずイフリートを抱き締めた。

《A兄…！ねぇ、なんでゾムたちは覚えてないんだろう。》

『それは、俺にも……』

俺が口ごもっていると、ざく、と何かが切れる音がした。

刹那、熱い感覚が背中を襲い、そして俺の意識は途切れた。