君に救いを、己に罰を【wrwrd 】 (ページ6)

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Aside

瞳が赤に変わる、と同時に透明化が解除された俺の周りに刃が無数に浮かぶ。

食堂に居るほとんどの者は、急に現れた俺、そして空中に浮かぶ刃を、ありえないと言わんばかりの驚きに満ちた瞳で見つめていた。

俺は容赦なく呆けたようにこちらを見ている敵に向かって刃を放つ。

その間、わずか一秒。

気付けば周りの敵は、首を刃に掻き切られて絶命しており残るはグルッペンを人質にとっているリーダーのみとなった。

「ひっ……！？な、なに……、ガッ！？」

『ふん、弱ぇな。』

怯えて辺りを見回すリーダーが滑稽で思わず笑いそうになるも堪えて、一気に距離を詰める。

そして、カバンから取り出した持ち手にエメラルドが嵌まったナイフを取り出してリーダーの首を斬る。

リーダーは為す術もなく崩れ落ち、命を落とした。

「………お前は、一体誰だ。」

リーダーの拘束から解放されたグルッペンがこちらを真っ直ぐに見据えてそう訊ねてきた。

……さて、なんと答えようか。

というか、誰だと問われていることや能力を見せて何も反応を示さなかった辺り、前世の記憶はないんだろうな。

じゃあ、もう適当に名前名乗ってどっか行くか。

『A、通りすがりの者だ。気にするな。』

そう答えた瞬間、食堂に2つの声が響いた。

「通りすがり？そんなわけないやろ、どうやってここに来たんや。」

「それに、さっきの奇妙な現象はなんなんですかねぇ？」

トルコ帽を被った人、オスマンと赤いマフラーを着けたこちらを睨むトントン。

どちらも警戒心マックスのようである。

一応助けたんだけどなぁ……。

さて、本当にどうしようかと困ってその場に立ち尽くしていると、不意に誰かに手を取られた。

そしてそのまま引きずられるようにして、誰かに連れていかれた。

「あ、待て…！！」

静止の声に答える隙もないまま、俺は誰かに引っ張られて食堂を後にした。