死神に堕落 其ノ什壱(鶴見) ページ42
｢あ、そこの軍帽のにーちゃん。はい、これ。｣
｢え･･･って、手紙？人違いじゃ･･･｣
｢ああ。さっき通りかかったねーちゃんに、軍曹被った、顔が傷だらけの男に渡してくれって頼まれたんだよ。そんなん、あんたしかいねーよ。｣
｢は、はぁ･･･｣
｢じゃ、ちゃんと渡したからな！｣
そういって、通りすがりの町人は爽快に立ち去った。
杉元は、渡された封筒をよく見る。そこには、かつて想いあっていた、そして、金塊を探す理由にもなっている、幼なじみの女の筆跡で、｢佐一ちゃんへ｣と書かれていた。杉元はそれにこれでもかというほど目を見開き、急いで中身を取り出して読む。
｢佐一ちゃんへ。まずは、一言。本当にありがとう。佐一ちゃんのおかげで、私はこうしてまた字を書けるようになりました･･･って、え？｣
杉元は身に覚えのない話に思わず顔を顰める。確かに、手紙を書いていることから、彼女が視力を回復したことは火を見るより明らかだ。しかし、自分は何もしていない。今もまだ、金塊をさがしている途中だ。じゃあ、どうやって･･･杉元はジトリと嫌な汗をかく。
そして、杉元は嫌な胸騒ぎを感じつつも手紙を読み進めた。その顔は、みるみるうちに顔面蒼白になる。
────日々の子供の成長を見守ってあげられるのも、全部佐一ちゃんのおかげです。
正直、いきなり、軍の方々が来て｢今からアメリカに行って、目を治しましょう｣といわれたときはビックリしたわ。なんだか怖いし断ろうと思ったわ。でも、額当てをした将校さんにいわれたの。佐一ちゃんが私のために、ここまでしてくれたって。私のために、一生懸命稼いでくれたこと。私のために、軍の方々に何度も頭を下げて渡米の安全を見守ってくださるように頼んだことも。
戦争後、佐一ちゃんは故郷にずっと帰ってこなかった･･･Aちゃんも。ふたりとも、死んじゃったのかと思ったわ。でも、違かった。私のために、北海道に行って一生懸命働いてくれたのね。私に黙ってまで、汗水たらして必死に働いてくれたのね。だから、そんな佐一ちゃんの気持ちをないがしろにはできないわ。
だから、私は思いきって手術を受けることにしたの。でも、怖かったわ。失敗したらどうしようかって。けど、ある兵士さんがね、ずっと私のそばにいてくれたの。手術直前の1番不安なときも、そっと手を握ってくれたわ。私はそれに、酷く安心した。そして、勇気を貰った。だから、前に一歩踏み出せたの。
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飴玉 - なんか凄い今更感……好きです…。鯉登さんのやつめっちゃめちゃ好きです………応援してます (2021年1月2日 22時) (
レス) id: ecd59cd0fd (このIDを非表示/違反報告)
ゲゲゲのひーやん - めっちゃ良い。応援しとります (2019年4月4日 1時) (レス) id: 4d1438fad9 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ(プロフ) - cjejpdさん» コメントありがとうございます！私も第7師団がかっこよくて大好きです！尾形はとくに！掛け持ちしすぎて、更新が不定期になりますが頑張ります！励みになります！ (2018年12月20日 1時) (レス) id: 58f787ff92 (このIDを非表示/違反報告)
cjejpd(プロフ) - こんばんは。突然ですが第7師団が大好きです！いつも楽しく読めています尾形が本当にかっこいいです。でもみんなもかっこいいです！更新をいつも待っています。これからも頑張ってください！ (2018年12月19日 22時) (レス) id: 909da3b77d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年12月8日 20時
