死神に堕落 其ノ陸(鶴見) ページ37
鶴見中尉は、私の話を最後まで横槍をいれずに聞いてくれた。度々、泣きそうになったり、嗚咽をもらしたりしても。むしろ、そんなときは先のように涙を優しく拭ったり、手を優しく包んでくれた。私はそれに、酷く安心した。
鶴見中尉は、私の話を全て聞き終えた後、少し考える素振りを見せた。そして、幾分も経たないうちに鶴見中尉はゆっくり口を開いた。その顔は、とても慈悲深い仏のような様だった。
｢お嬢さん･･･いや、AAさん。君のご友人に対する思いに、私は大変感銘を受けた。それほどの意志を持って、金塊を探していたのだな。しかし、君は、金塊がいつ見つかるのか･･･そもそも、自分たちが誰よりも先に見つけられるのか、そもそも、本当にあるのか･･･杉元は、本気でその梅子殿を救う気があるのか、常々疑問に感じているのだろう？｣
｢は、はい･･･｣
｢ならば────｣
そこで、鶴見中尉は突然椅子から立ち上がったかと思うと、私の座っている横までゆったりとした足取りでやって来た。そして、私の体を自分の方へ向けるため、私の肩に優しく手を添え、ゆっくりと私の体を回転させた。私は、その肩に触れられた感触に、トクンと胸を打った。私の頬が、少し赤く染った。それに満足そうな笑みを浮かべた鶴見中尉が、やっと話を再会させる。私は、見上げるような形でそんな彼を見つめた。
｢ならば、私が梅子殿の眼の治療費の200円を払ってあげよう。｣
｢え？｣
私は、あまりにも衝撃的な申し出に口を開けたまま固まってしまった。
｢そ、そんなことできるわけ･･･｣
｢できる。私はこう見えても、自慢じゃないが裕福な家柄でね。200円という資金、決して用意できない額ではない。それに軍で私は中尉という階級だ。俸給が半年分ほどあれば余裕で払える。その代わり────｣
そういって、鶴見中尉が気品溢れる動作で私の足元に跪いた。突然のことに困惑する私。しかし、そんなことなんて気にせず、彼は私に内緒話でもするように囁いた。それは、私をゆっくりと奈落の底に突き落とすような、甘美な堕落を与えた。
｢私と神の前で永遠の愛を誓ってはくれないだろうか？｣
そういって死神は、私の手を取り麻薬に溺れるような口付けをした。
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飴玉 - なんか凄い今更感……好きです…。鯉登さんのやつめっちゃめちゃ好きです………応援してます (2021年1月2日 22時) (
レス) id: ecd59cd0fd (このIDを非表示/違反報告)
ゲゲゲのひーやん - めっちゃ良い。応援しとります (2019年4月4日 1時) (レス) id: 4d1438fad9 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ(プロフ) - cjejpdさん» コメントありがとうございます！私も第7師団がかっこよくて大好きです！尾形はとくに！掛け持ちしすぎて、更新が不定期になりますが頑張ります！励みになります！ (2018年12月20日 1時) (レス) id: 58f787ff92 (このIDを非表示/違反報告)
cjejpd(プロフ) - こんばんは。突然ですが第7師団が大好きです！いつも楽しく読めています尾形が本当にかっこいいです。でもみんなもかっこいいです！更新をいつも待っています。これからも頑張ってください！ (2018年12月19日 22時) (レス) id: 909da3b77d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年12月8日 20時
