死神に堕落 其ノ肆(鶴見) ページ35
そう。私と佐一君は、同じく金塊を狙う第7師団に捕まってしまった。どうやら、私たちがニシンそばを食べた店の女将が、私たちのことを第7師団に告げ口したらしい。
佐一君は、警戒もせずその団子をぱくっと食べる。でも、私はそんな呑気な気分には到底なれなかった。
なぜなら佐一君は第7師団に、なぜ刺青の男を探しているか、本当のことを話さずはぐらかそうとしているから。それは、佐一君が団子を食べる前も後も一緒だった。ずっと、｢俺は不死身の杉元じゃない｣｢金塊なんて知らない｣と否定していた。
私はその間、ずっと沈黙するしかなかった。見張っていた双子と佐一君が争いあっても、そこから一歩も動くことが出来ず、ずっとただ、鶴見中尉の背中越しにある窓から見える景色を眺めていた。だって、私はドロドロとした言葉ではいい表せない感情で、半ば錯乱していたのだから。佐一君を助けようと思う余裕などあるわけがなかった。
さて、佐一君が第7師団に嘘をついた理由･･･最初は、私や佐一君の身の危険を回避するためかと思っていた。でも、違かった。金塊と密接的に関わりのある、アイヌの少女であるアシリパさんが、第7師団に狙われないようについた嘘だと悟った。認めれば、アシリパさんやアシリパさんの村の人のことも、拷問などで話さざるをえないだろう。佐一君は自分たちよりも、アシリパさんとその村の人の身を案じて･･･それくらい、アシリパさんを思って･･･想って･･･？
｢おや、食べないのか？何、怪しいものは何も入っとらんよ。それとも、甘いものは嫌いか？｣
｢･･･あ、そんなことは･･･な、なくて･･･あ、あれ･･･｣
捕まってから、ずっと黙って呆然としていた私に、鶴見中尉が少し残念そうに問いかける。しかし、私はそれにうまく答えられず、無意識に涙をツーっと流してしまった。
だって、胸の内にずっと閉まっていたはずのぐちゃぐちゃになった感情が、ついに溢れ出して止められなかったから。
佐一君がアシリパさんのことを、梅子ちゃんより大切に思っている。金塊で梅子ちゃんの治療費を稼ぐのは、アシリパさんの目的を達成するついで。そう思う反面、あの幼い少女にはまだ未来がある。金塊を巡る争いに巻き込まれて欲しくない。村で穏やかな生活をして欲しい。そう、佐一君が純粋に思っての行動だとも、どこかで分かっていた。
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飴玉 - なんか凄い今更感……好きです…。鯉登さんのやつめっちゃめちゃ好きです………応援してます (2021年1月2日 22時) (
レス) id: ecd59cd0fd (このIDを非表示/違反報告)
ゲゲゲのひーやん - めっちゃ良い。応援しとります (2019年4月4日 1時) (レス) id: 4d1438fad9 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ(プロフ) - cjejpdさん» コメントありがとうございます！私も第7師団がかっこよくて大好きです！尾形はとくに！掛け持ちしすぎて、更新が不定期になりますが頑張ります！励みになります！ (2018年12月20日 1時) (レス) id: 58f787ff92 (このIDを非表示/違反報告)
cjejpd(プロフ) - こんばんは。突然ですが第7師団が大好きです！いつも楽しく読めています尾形が本当にかっこいいです。でもみんなもかっこいいです！更新をいつも待っています。これからも頑張ってください！ (2018年12月19日 22時) (レス) id: 909da3b77d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年12月8日 20時
