兎に囚われる (ページ45)

今日:22 hit、昨日:3 hit、合計:61,380 hit

死神の予定ページ45

｢鶴見中尉。｣

｢なんだね、月島？｣

｢先程は色々な理由をつけていましたが･･･それでも、川田さんをこちらに、何も躊躇せずよく引き入れましたね。｣

｢ふふ。どんな形であれ、こうなることは決まっていたからな。なんせ、彼女の慕っている師範は────元第7師団の私の腹心なのだから。｣

｢･･･?!と、ということは川田さんが網走監獄に土方が幽閉されていると知ったのは･･･?!｣

｢もちろん、彼から川田さんにタレこんでもらった。そうすれば、彼女は必ず憧れの土方の元へ行く────たかが武器屋の娘が、そう簡単に網走監獄の機密事項を知るわけないだろう？｣

そういって鶴見は不敵に笑った。

(本当は網走監獄侵入前に、その情報の出処は私だといって看守である彼女に恩を売り利用しようと思ったのだが･･･刺青の囚人の移送の際は、どうやら看守部長殿にしてやられ、彼女を上手く利用できなかったからな。土方とやっていることは被るが、看守である彼女の手引きがあれば、容易く侵入出来ると思った。しかし、宇佐美に『網走監獄には可愛い看守のお嬢さん』がいるといったのがいけなかったかな？まさか、彼女をこちらに連れてくるとはな･･･)

それでも、可愛い部下の恋路だ。少々予定は狂ったが、2人を温かく見守ってやろうではないか。

そう、鶴見は心中で付け足し、目の前の紅茶をひとくち啜った。