誰かの覚醒 ページ43
｢ふふ･･･｣
｢あ、起きたか･･･って、何を笑っているんだ？まだ、お前は安静にしてないと･･･｣
｢ええ。彼のいう通りですよ。あなたは、一命を取り留めたとはいえ、まだ、危険な状態には変わりありませんから。｣
｢ほら。大人しく医者のいうことを聞け。｣
｢ええ･･･でも、この光景をもう少し見ていたくて･･･彼らを見ていると思うんです。血の繋がりがなくとも、本当の家族になれる、と。｣
｢確かにそうだな･･･あいつらを見ていると、本当になれる気がする。今まで以上に。なぁ･･･｣
｢何でしょう？｣
｢俺が帰って来たら、あいつと一緒に本当の家族になろう。それまで、絶対死ぬな。俺も必ず、生きて帰ってくるから･･･｣
｢ええ、もちろんです。ずっと、待っていますから･･･！｣
そこで、俺は急に意識が微睡んだ。自然と、重力に従って体がベッドへ横たわる。ああ、そろそろこの妙に穏やかな夢が終わるのか･･･なんだか、聞いたような声もチラホラあったような･･･まぁ、所詮は夢だから関係ないか･･･とにかく、早くこの夢から現実世界へ行こう、と俺は自ら意識を沈めた。
ガチャッ
俺の意識が徐々に霞んできたときだった。誰かが扉を開ける音がした。その後、俺のところにコツコツと足音が近づいてきた。そして、その足音は俺のベッド脇でピタリと止まった。
俺は、夢だと分かっていても、誰がそばにいるのか気になり目を開けようとした。しかし、いくら頑張っても、それが叶うことはなかった。そして、本格的に何もかもが闇に意識が落ちる瞬間、俺はまたまたどこかで知ったような声を聞いた────
『俺はお前を一生許さない。だが、お前を追うのはもうやめた。だって、俺には･･･守りたいものが、大切なものが出来たから･･･それに、気づかされたから･･･』
そう、何か憑き物が取れたような、清々しい声を聞いたときには、既に俺は現実世界で覚醒していた。
｢･･･な、何だったんだ、今のは。｣
｢どうした杉元？｣
｢あ、アシリパさん。起こしちまったか。｣
｢いや、さっきオソマしに起きたから、杉元のせいじゃないぞ！｣
｢あ、ああ･･･そ、そうなのね。｣
｢それで、何かあったのか？｣
｢いや、大したことじゃ･･･ただ･･･｣
｢ただ？｣
｢何だろう。さっき、妙にリアルな夢を見たんだ。そこには、俺の知ったような奴がたくさん出てきた。まぁ、声だけなんだが･･･でも、なんだかとても温かった。｣
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年12月4日 12時
