兎がからかう ページ5
｢───最後はここ、網走監獄内でも最上級犯罪者がいるところで、基本は雑居房だけど、特に危険な犯罪者は独房に入れられます。以上です。｣
｢わあ、ありがとうございます！Aさんの素晴らしい解説のおかげで、すぐに場所を覚えられそうです。｣
｢そ、そんな、照れます･･･｣
Aは、網走監獄内の全てを宇佐美に案内した。その締めくくりに、宇佐美に褒められAは思わず頬を赤く染める。
｢あは、Aさん顔真っ赤。リンゴみたいですね。｣
｢え･･･？！｣
｢あ、もっと赤くなりましたよ。｣
｢もう、からかわないでよ！｣
Aは思わず、敬語を崩し宇佐美に憤慨する。
｢怒ってるAさんも可愛いですね！｣
｢か、かわい･･･？！｣
Aは生まれてこの方、そんな言葉を男性からいわれたことがなかった。無理もない。自ら進んで看守になるほどなのだから。まぁ、それにはちょっとした理由があるのだが･･･すぐに分かるだろう。とにかく、Aは初めて言われた言葉に、驚きで最後まで言葉が出なかったのであった。
｢と、とにかく、１回犬童典獄のところへ案内し終わったことを報告しに行来ますから！い、行きますよ！｣
Aは話を逸らすように宇佐美にいった。
｢嫌です。｣
｢え？｣
｢Aさんが僕のお願いを聞いてくれたら良いですよ？｣
｢な、な、私は、あなたより年下だだと思うけど、先輩よ？そんな命令みたいなのは･･･｣
｢あ、その感じですよAさん。｣
｢ど、どういうこと？｣
Aは宇佐美が何を指して、そう言ってるのか理解出来ず困惑する。
｢敬語ですよ。敬語。今みたいに敬語使わないで話してくださいよ！じゃないと僕、仕事しませんからね！｣
｢し、仕事しないのは困ります汗 分かった、敬語を使わないように頑張りま･･･頑張るよ。｣
Aは、ぎこちないながらも宇佐美にタメ口で話す努力をすることにした。
｢さっすがAさん！話が分かる人です！｣
｢あはは･･･ほら、報告しに行くよ！｣
今度はAが宇佐美を急かしながら、犬童の執務室に向かった。道中些細な会話を交えて。やはり、宇佐美は自分より少し年上だった。でも、宇佐美のほうが可愛いとAは初対面のときと変わらず思うのだった。
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年12月4日 12時
