兎が戻る ページ4
｢Aさ〜ん♪あと、門倉部長。｣
｢おい、ついでみたいにいうな！｣
｢あ、分かります？｣
｢こ、この･･･クッ｣
(や、やっぱり、強く言えん。だって、俺を見る目がめちゃくちゃ怖いもん。しかし、よくもまぁ、Aの名を気安く呼びおって･･･)
｢あはは･･･｣
(なんか自然に名前で呼ばれているけど、別ににいいかな･･･)
別に悪いことされてるわけじゃないし、とAは苦笑いしながら心中で付け足す。
あれから宇佐美は、犬童のところから幾分も経たないうちに戻ってきていた。
｢さて、新人。これからこの網走監獄内を私が案内する。着いてこい。｣
｢あ、それについてなんですけど、僕、犬童典獄からAさんに案内してもらうようにいわれました。｣
｢なんだと？！｣
自分が犬童から聞いていたこととは違い、思わず宇佐美への恐怖も忘れて門倉は聞き返した。
｢なんでも、門倉部長にしか出来ない仕事を今すぐ頼みたいそうで･･･｣
｢そ、そんな･･･｣
(Aと宇佐美を2人きりにするなんて･･･！)
｢門倉部長。私が宇佐美さんをしっかり案内しますので、早く犬童典獄のところに行ってきてください！｣
Aは、門倉に心配しなくとも大丈夫と念を押した。
｢ああ、分かった･･･。できるだけ早く戻ってくるからな！｣
そういって門倉は、早足で犬童のところへ向かった。
｢ふふ。やっと２人きりになれましたね･･･｣
｢え？｣
｢さ、早く案内してください！Aさん！｣
Aの疑問も他所に、宇佐美はAの背中を押しながら案内を急かした。Aは、されるがままに宇佐美と共に監獄内の奥深くを目指した。
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年12月4日 12時
