兎のおさらい ページ25
だからAは、聞きたくなくて耳を塞ごうと宇佐美の腕を振り払おうとする。しかし、第7師団・最強の北鎮部隊の宇佐美の力に抗えるわけがなかった。
｢大人しくしてくださいよAさん。僕の話、ちゃんと全部聞いてくれたら、離してあげますからね？｣
｢うぅ、うん･･･｣
｢ふふ。良い子ですね！｣
｢･･･ッ！｣
そう笑顔で宇佐美はいうと、Aの頭を撫でた。途端に、Aの頭部にゾワっとした感触が広がる。
｢では、門倉部長について、改めておさらいしましょう。｣
宇佐美はAの耳元で、悪魔のように囁いた。
｢結論からいうと、門倉部長は土方歳三の仲間！動機は、函館戦争で土方と共に戦って戦死した父親のため。だから、土方がここ、網走監獄に幽閉されていると知った門倉部長は、看守という職について、土方と接触した。しかし、ここで問題はっせーい！｣
｢な、なによ、問題って･･･！｣
｢それは、普通にしてたら長年看守を勤めるのは不可能ということです！ですから、腑抜けダヌキを門倉部長は演じていました！わざと不真面目を装って、看守部長の地位にあり続けました！｣
｢な、なにいって･･･｣
｢Aさん。昨日いいましたよね？ここに今いる理由は、門倉部長が心配だからって･･･｣
｢そ、そうよ･･･犬童典獄にいつもキツくいわれて･･･！｣
｢それは、自業自得でしょ？だって、わざと腑抜けているんですから。もちろん、そうして看守という立場にい続け、常に仲間の土方に接触できるようにね。｣
｢う、うそよ、信じない･･･！｣
｢だから、Aさんが門倉部長を気遣うのは全くの無意味なのでした！実のところ、門倉部長は犬童典獄の当たりをなんとも思ってません。だって、全ては土方のためですからね。ふふ。Aさん。もう、ここにいる理由はなくなりましたね？｣
そういって宇佐美はAの背中をゆっくり上下にさする。すると、Aの背筋にゾクゾクとした悪寒がはしる。Aは、頭がどうにかなりそうで、すっかり力が抜けてしまい、宇佐美によっかかるような体勢になる。
｢ふふ。やっと、僕のことを頼ってくれましたね。大丈夫ですよ。Aさんのことは、死んでも離しませんから･･･｣
そういって宇佐美は、自身の体に寄りかかったAを更に優しく抱き締める。
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年12月4日 12時
