兎とご対面 ページ2
「今日から入った新人看守の宇佐美だ。ほら、新人挨拶しろ。」
「初めまして!宇佐美っていいます!よろしくね川田さん♪」
「はい、よ、よろしくお願いします・・・」
(すごい!なんだあの口の両端にあるホクロは!奇跡すぎる!てか、妙にテンション高い・・・汗 なんか、女の私より可愛いんじゃ・・・喋り方とか声とか顔とか・・・あれ、全部だ・・・ま、負けた・・・・・・あれ、この人私より絶対年上だよね?年上の男に負けるなんて・・・ふ、不覚!てか、なんか近い汗)
あまりにも彼──宇佐美の第一印象が強烈過ぎて、Aは、一言でまとめることが出来なかった。
「ねえ。」
「はい?な、何でしょう?」
Aは宇佐美が年上だと思って(実際そうだが)敬語で話す。
「Aさんって呼んでも良いですか?」
「え?」
初対面でいきなり名前を・・・しかも、異性に向かっていうとは思わずAは、つい聞き返した。
「あ、え、あの・・・」
「こら、新人!あまり、Aをからかうんじゃないぞ!」
すかさず、宇佐美をAに紹介したここ、網走監獄の看守部長の門倉が宇佐美を注意する。
「門倉ぶちょ〜う?」
「な、なんだ新人?」
妙に間延びした宇佐美の声に一瞬戸惑う門倉。なんか、さっきと雰囲気違くね、ヤバいと門倉は思った。
「門倉部長は川田さんのこと名前呼びしてるじゃないですか。狡いですよ〜?」
「私は、い、良いんだ。気にするな。」
「そういわれると余計ね?」
「し、新人には関係ない!」
「へぇ?僕には関係ないと?」
「ああ・・・え、まあ・・・汗」
「門倉部長はお父さんみたいな存在だから良いの!」
門倉が困っているようなので、すかさずAが助け舟を出す。
「へぇ?お父さんねぇ・・・」
「あぁ。まぁ、私もAを娘のように思っているからな。」
網走監獄典獄の犬童に「辞書で役立たずと引けば門倉が出てくる」と毎度貶されている門倉にとって、Aの存在は癒しだった。いつの間にか、娘のような存在になるのに、そう時間はかからなかった。
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作者名:もふもふ | 作成日時:2018年12月4日 12時