山猫に一目惚れ (ページ8)

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尋問ページ8

その後Aは、最初こそは鶴見を警戒していたが、彼の巧みな話術により、ものの数分後にはすっかり絆されてしまった。話し上手なのはもちろんのこと、鶴見は聞き上手でもあった。
｢軍での仕事は慣れてきたか？｣に始まり、｢君が陰ながら努力していることを知っているぞ。｣｢女性ということあり、何かと大変だろうがたまには息抜きも必要だ。｣｢何か困ったことあったらいつでも相談に乗るよ。｣｢これでも、藤宮少尉には期待しているんだ。｣等々、弾丸のように労りの言葉を貰えば無理もない。

(鶴見少尉って、とっても尊敬出来る大人かも･･････)

そう、思いかけたときだった。

｢ところで先程、君が射撃場から慌てて兵舎に戻るところを目撃したのだが･･････｣

｢･･･ッ！｣

その言葉に、思わずAはビクリと体を揺らした。

(今まで、私の軍での生活のお悩み相談みたいな感じだったから、油断していた!!話の流れによっては、下手すると彼の想いがバレて･･･!!)

｢どうした。まだ、話の途中だぞ？何をそんなに驚く必要がある？｣

｢い、いえ。その･･･鶴見少尉にあのような見苦しい姿を見られたと思うと、申し訳なくて･･････｣

｢そんな謝ることは無い。それで、どうしてあんなに慌てていたんだ？｣

｢あぁ、ちょっと急用を思い出しまして･･････。｣

｢ほう。それは、食事を抜くほど大事なことかね？｣

｢･･･ッ!!何故それを!!｣

｢おや、どうやら当たったようだ。｣

そこで鶴見は、二ィと目を細める。

話の主導権は、もう完全に鶴見のものだった。