検索窓
今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:110,953 hit

限界 ページ9

そして、彼の一方的な尋問は、着実にAの秘め事に近づいていった。

「なに、実は私も射撃場に立ち寄ってね。──まぁ、君はすでに兵舎の方に向かっていたが──そこにいた、将校殿が教えてくれたよ。君は、射撃場の騒ぎが気になって駆けつけたのだとね。」

「そ、それが、食事を抜いたこととは関係はな・・・・・」

「最後まで聞きなさい。──いくら射撃場が騒がしかったとはいえ、兵舎まではその音は聞こえまい。君は、外に出て初めて射撃場の騒ぎに気づいた。そして、気になって射撃場に向かった・・・。つまるところ、最初から射撃場に向かう予定ではなかったということだ。本来の目的は別にあった。時間帯を考えるに、外で昼食を取る予定だったと考えるのが無難だろう。違うかね?」

「い、いえ・・・全くその通りで・・・」

Aは、あまりにも的確にいわれ、ぐうの音も出ず、咄嗟に嘘をつくことも出来なかった。まさか、ここまで言い当てられるとは思わず、改めて鶴見は、恐ろしい情報将校だと認識した。そして、彼との対談は予想以上に危険だとも。

「認めるか。ならば、改めて問おう。何故、射撃場から外に食事に行こうとせず、まっすぐ兵舎に戻ったのかね?急用ではないだろう・・・?」

「え、えとそれは・・・」

すると、鶴見は急に立ち上がったかと思うと、Aの背後に回った。そして、耳元で内緒話でもするように囁く。

「射撃場でなにがあった?私で良ければ、話してみなさい。」

「つ、鶴見少尉に話すほどでは、」

「私は、君が心配なんだ・・・」

さりげなく、Aの肩に手を置く鶴見。

もう、Aはその紳士ぶりに限界であった。頭では、猫かぶっていると分かっていてもだ。

「あ、あの、その・・・」

「落ち着いて、ゆっくり深呼吸、深呼吸・・・」

もう、彼のことを話してしまおうかと思ったその刹那、

「キエエエエエエェッ!」

誰かが、執務室の扉を勢いよく開けた。

最悪→←尋問



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (63 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
120人がお気に入り
設定タグ:ゴールデンカムイ , 金カム , 尾形百之助   
作品ジャンル:ラブコメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もふもふ | 作成日時:2018年11月20日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。