山猫に一目惚れ (ページ29)

今日:7 hit、昨日:3 hit、合計:111,068 hit

尊重ページ29

｢成就させてってそんな簡単に･･･だいたい、これは私の片想いよ？当たり前だけど、彼が私を好きじゃないとこの恋は成就しないわ。かといって、無理矢理付き合うような真似とかしたくないし･･･｣

Aは、思わずまくし立てるように双子にいう。そう、あくまでもAは、自分より彼の気持ちを尊重したいのであった。

｢それに、百之助さんに想い人が既にいるかもしれないでしょ？そしたら、私は身を引くわ･･･｣

Aは、その可能性ついて、あまり考えたくはなかったが、決してないわけではなかった。Aは、なんだか急にどんよりとした気分になった。

｢そうでなくても、私のようなお転婆娘、嫌かもしれない･･･｣

Aは、どんどん後ろ向きな思考になった。

しかし、双子はそんなAを見て、あろうことかのほほんと笑った。

｢な、なんで笑うのよ！｣

｢まあまあ、落ち着いてくださいよ。｣

｢そうそう。そんな顔しないで。｣

｢でも･･･｣

｢まあ、今の状態ならこの恋は成就しますよ！なあ、浩平？｣

｢ああ。その通りだぜ、洋平。だって･･･｣

｢だから、成就は────だって･･･何？｣

しかし、それ以上双子は言葉を続けず、ただ、笑っていただけであった。

Aは、何度か問い詰めたがそれでも双子は意地でも話すことはなかった。

｢はぁ。もう、いいわ。それで、このこと───誰にも言わないでくれる？｣

Aは、一番気がかりだったことを口にする。

｢ええ。藤宮少尉の頼みとあらば、死んでもいいません！｣

｢私も同じく！｣

｢良かった･･･｣

真剣な表情で約束する双子に、Aはほっと一安心する。嘘をいってるようには到底みえないので、誰かにいいふらすことはないだろう。

｢私達、いつでも相談に乗りますから！｣

｢尾形一等卒への恋、応援していますので！｣

｢ありがとう･･･！｣

若干、気がかりなことはあるが双子にそういってもらいAは素直に喜んだ。