山猫に一目惚れ (ページ26)

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筒抜けページ26

｢お二人さんは、まだ注文してないの？──隣の席に甘味を置いてきてしまったならば、持って来て良いのよ？｣

うめが双子に疑問に思ったことを問いかける。

｢ああ、私達はもう、とっくに食べ終わったので大丈夫です。｣

｢食後にゆっくりしていたところでしたので。｣

｢しかし、本当はそろそろ帰ろうかと思っていました。｣

｢まぁ。じゃあ、誘ったのは良くなかったかしら？｣

｢いえ。この後、とくに用事もないんで大丈夫です。｣

｢もう少しゆっくりしても良いかなとも思っていたところでしたので。｣

そう、双子はうめに心配しなくとも良いと念を押す。

｢────それに、帰ろうとしたところ、お二人の会話がたまたま、耳に入ってしまい、ついつい、聞き入ってしまいました。｣

｢帰ろうにも、気になって帰れません。｣

｢え･･･｣

暫く黙っていたAだが、その言葉に困惑する。

｢ならば、ご一緒できて、ちょうど良かったわね！｣

うめは、Aの内心知ってか知らずか、手放しで喜んだ。

｢それで、本当に尾形一等卒のこと好きなんですか?!｣

浩平が、身を乗り出す勢いでAに問いかける。

｢あ、えと･･･｣

｢おい、藤宮少尉が困ってるぞ、浩平。｣

｢洋平だって気になってるだろ。｣

｢まあまあ、お二人共･･･｣

うめは、やんわりと双子をとりなす。

｢･･･あの、そもそも尾形一等卒ってどうして分かるの？盗み聞きしたとしても、誰なのか特定出来るようなこといってないはず･･･｣

もう、バレたのだからどうにでもなれと思ったAは、双子と会話することにした。しかし、好きかどうかの部分には、恥ずかしくて触れたくなかったので、話をなんとか逸らす。

｢あれだけいってれば、尾形一等卒しかおりませんよ。｣

｢一等卒で、射撃が百発百中の黒い目をした奴ななんて尾形一等卒しかおりません。｣

｢そ、そうなのね･･･汗てか、そこまで聞いていたの?!汗｣

｢ええ。本当に申し訳ない･･･｣

｢そもそも、最初から聞いていましたので。｣

｢ま、まじか･･･｣

｢私たちの会話、筒抜けね･･･｣

Aとうめは、それほど聞こえるような、大きな声で話していたのか、店の人に申し訳ない、次から気をつけようと深く反省した。