双子 ページ25
｢それって、尾形百之助一等卒のことではありませんか？｣
そういったのは、同じ顔した2人の男のうちの片方だった。
｢え･･･｣
Aは、突然のことに驚きすぎてまともな言葉がでなかった。
(か、『彼 』の名前を知れたのは嬉しいけど･･･どういうことなの?!彼らは何者?!でも、どこかでみたような･･･まさか)
それに答えるように、彼らはこちらを覗いてた顔を引っ込め、Aとうめの席まで来る。先程は冊子で見えなかった、その2人の服装は────27連隊の腕章をつけた軍服であった。
(やっぱり、同じ軍の人間！何度か兵営で見かけたことがあったから･･･ってことは、私の好きな人のこと、兵士にバレたってこと?!え、どうしよ！それだけは避けたかったのに！これじゃ、すぐに噂を広められて･･･もし、『彼』───百之助さんに知られたら────!!)
｢あらま、双子ちゃん？可愛い！｣
｢おう。｣
｢『 ちゃん』は余計だけどな。なあ、浩平。｣
｢おう。可愛いも余計だ。なあ、洋平。｣
｢わあ！すごい息ピッタリね！｣
Aの心配を他所に、うめは双子の洋平・浩平と、和気あいあいに会話していた。
｢───あれ？A大丈夫？｣
｢───え、あ、だいじょばないかも･･･。｣
｢藤宮少尉、具合でも悪いのですか？｣
｢良かったら、ご自宅までお送りしましょうか？｣
｢ああ、いや、そうじゃないから･･･｣
(いや、アンタらのせいなんだけど！)
しかし、そんなことをいう力は今のAにはなかった。
｢Aがいうなら、いいけど･･･あ、お二人さんは見たことろ、Aと同じ軍の方ね。良かったら、ご一緒にどう？｣
｢え･･･うめ、そんな2人にめ、迷惑だよ！｣
Aは、尾形を好きだとバレてしまった手前、これ以上、この双子には関わりたくなかった。だから、うまいこといってなんとか2人を退けようとする。
｢全然、迷惑ではありませんが･･･｣
｢本当に、よろしいのですか？｣
｢ええ、もちろん！｣
｢では、是非、ご一緒させていただきます！｣
しかし、Aの思惑はあえなく失敗に終わる。その後、2人は、店員に一言断りをいれた後、隣の席から移動する。Aは、ただそれを受け入れる他なかった。
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年11月20日 21時
