名前 ページ24
｢そっか･･･Aは女だから余計、変な勘繰りをされてもおかしくないからね。｣
うめは、男も女もそういう所は一緒だと思いながら共感の言葉を口にする。
｢で、喋ってもいないのに惚れたの？｣
｢うん！遠くから見てただけだったけど────一目惚れだったわ！｣
そういって、うっとりしたAにうめはただ驚いた。
｢Aをそこまでゾッコンさせるなんて･･･！一体、何を見たの？｣
｢彼の射撃姿よ！うめは怒るかもしれないけど、『彼 』が1番軍の中で射撃が上手いはずよ。──花沢少尉よりもね！｣
｢そんなにかっこよかったのね･･･でも、勇作様を批判するのは聞き捨てならないわ！彼が1番なのは絶対譲らないわ！いくら、Aの好きな人とだとしても！｣
｢見たことないくせに？｣
｢あら、これでも私は勇作様に関しては情報通なのよ。彼は百発百中だって、軍の皆様方が仰っていたわ。外したところは見たことないって！確かに信頼できる筋からの情報よ！｣
｢へえ、でも、『彼』もあのとき百発百中だったわ！しかも、射撃するまでの一瞬一瞬に一切の無駄がない！全てがかっこいい･･･あの目で射抜かれたいわ･･･｣
｢あ、A、射撃の話から逸れて･･･｣
うめの話など聞いてないAはさらに、唐突に始まった『彼』語りを続ける。
｢あの吸い込まれそうな黒い瞳、男らしい髭･･･程よい筋肉････｣
｢Aってば！｣
｢雪のように白い肌･･･特徴的な眉毛。どことなく影を感じさせる姿、それがまた魅力的･･･！ああ、知りたいわ。『彼』の名前は一体────?!｣
｢それって、尾形百之助一等卒のことではありませんか？｣
隣の冊子の上から同じ顔が2つ覗いた。
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年11月20日 21時
