甘味処 ページ20
「あ、A!こっちこっち!」
Aが、待ち合わせ場所の甘味処まで行くと、すでにうめが店の前で待っていた。
「久しぶり!───待たせちゃった?」
「ううん。私も今来たばっかりだから大丈夫よ!ほんと、久しぶりね。」
「だね!あ、私、この店初めてなんだよね。」
「私もよ。ここの店は和菓子も洋菓子も取り揃えいて評判なのよ。」
「じゃあ、選ぶのも楽しめそうね!」
なんて、些細な会話を交えながら2人は店内に入っていく。
「わぁ。素敵なお店ね。」
うめはそういって、和洋折衷な造りの店内を見回す。店内は少し暗めで、落ち着いた雰囲気となっていた。席は洋テーブルに椅子。コの字型の薄い和柄の板で仕切られ、半個室状態になっている。その組み合わせが、とても斬新ではあるが上手く互いの良さを引き出していた。
「お客様、こちらにどうぞ。」
そう店員に案内され、空いていた入口に近いに席に2人は腰掛ける。
「お客様、当店では通常メニューとは別に期間限定スイーツもございます。特に本日から始まります、ミカンを使用したスイーツがおすすめですよ。」
そういって店員は、お冷とともに期間限定メニューの、ミカンを使ったスイーツが載っている部分を開いて渡す。
「わぁ、ミカンひとつでこんなにたくさん・・・!」
Aは、その種類の豊富さに驚いた。和菓子には、ミカンを丸ごと包んだ饅頭や、餡の代わりにミカンを使用し、所々にミカン粒が入った羊羹。洋菓子には、ミカンをベースにした生地のカステラや、ミカンをクリーム状にしたモンブラン、ミカンの粒をふんだんに使ったケーキなどなど、数え切れないほどあった。
「洋菓子なんて、まだまだ日本じゃ珍しいのにこんなにあるなんて・・・!」
「どれを選ぼうか迷ってしまうわね。」
2人共暫し悩んだが、何とか数個選び抜き注文した。ミカンを使った期間限定スイーツを含めてだ。
「おまたせしました。」
そう時間が経たないうちに、店員が頼んだものを運んできた。
「え、Aそんなに食べるの?これじゃ、本格的な食事じゃない・・・太るわるよ。」
そう、Aはうめの頼んだ品数より2倍ほど多く頼んでいた。
「朝ごはん食べる暇なくてお腹すいてさ・・・。それに、いつも仕事で動いてるから大丈夫だって!」
「この前会った時、執務ばっかで体がなまるぅー!とか、いっていたのに?」
「それとこれとはまた別で汗」
なんていいあいながら、2人は甘味を食べ始めた。
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作者名:もふもふ | 作成日時:2018年11月20日 21時