一変 ページ50
｢え、じゃあ、その一部の兵士たちって･･･？｣
｢察しの通り、尾形一等卒を少なからず尊敬しておる者だ。彼を濁りのない目で見ている者たちだ。｣
｢そ、そうなんですか！じゃあ、それが先程いっていた『彼ら』なんですね！｣
｢その通りだ。もちろん、月島伍長もな。｣
｢俺たち以外にもいたんだな！｣
｢なんか、仲間がいて安心した。｣
｢私も･･･百之助さんを思ってくれる人が他にもいたなんて･･･！｣
Aは、そのことに思わず涙が出そうだった。それくらい、自分の好いた人間に強い味方がいて嬉しかったのだ。
｢二階堂兄弟みたいに表立って、尾形一等卒を尊敬していると分かりやすくすれば、少なからず周囲からの反感を買う。だから、その思いは心のうちにしまっている･･･それが、今、呼んでいる彼らだ。｣
｢要するに、隠れ尾形一等卒ファンですね！｣
｢的を射ているな。｣
｢尾形一等卒だけに？｣
｢うう、寒いぞ洋平･･･｣
｢あはは･･･!｣
Aは、色々尾形について安心したので、洋平と浩平のやりとりに心から笑うことが出来た。
｢だから、彼らに君の尾形一等卒を想う気持ちを告白し、彼らを鼓舞させてほしいのだ。そうすれば、彼らも尾形一等卒を本気で助けようと思うはずだ。権力や地位に囚われずにな。先程の私のように。｣
｢そういうことだったんですね！･･･分かりました！彼らに私の想い、精一杯伝えさせていただきます！百之助さんを助けてほしいので！｣
鶴見の意図がようやく分かったAは安堵しつつ、『彼ら』に尾形に対する想いを告白すると高らかに宣言した。
｢うむ。大変良い返事だ。｣
｢ありがとうございます･･･！｣
今日、Aは鶴見を心から尊敬した。
(そうえば、たらし将校とかなんてかいわれているけど、なんだかんだで全て軍や仲間のためにやっていることよね･･･弱みを握るってのも、軍で悪いことした人限定みたいだし。やっぱり、鶴見少尉は尊敬できる上官･･･！同じ階級だけど、大人としても尊敬できる！)
この間、約束した鯉登との鶴見少尉談義も面倒じゃない、寧ろしたいとAは思うようになった。それほど今の鶴見は素敵だった。あ、あくまでも上官として、とAは心に付け足す。
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年11月20日 21時
