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重たい瞼を開けると、
花火の打ち上がる音が聞こえた.
「 A!! 」
『 実弥くん… 』
ゆっくりと起き上がり、辺りを見渡せば、
救護室にいることがわかった.
目を覚ましたことを実弥くんが看護師さんに伝えくれ、体温を測ったり諸症状あるかなど簡単な問診をした.
あの頭痛はもう治まっていた.
看護師さんにもう大丈夫であることを伝え、救護室を後にした.
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『 ……花火、始まっちゃってたんだね 』
外に出ると、夜空に咲く華.
本当だったら、近くで見れたのに…
『 ごめんね、せっかくの花火大会なのに 』
「 Aが無事ならそれでいい.
本当にもう大丈夫なのか? この前も、体調悪そうだったろ 」
この前、というのは、恐らく打ち合わせをた時だろう.
あの時はなんとか誤魔化せたけど…、
『…… 少し、変な話してもいい?』
「 変な話? 」
『 うん. 変な話、というよりは、不思議な話かな…
最近ね、懐かしいと思ったものを見たり触れたりすると頭痛がするの.
頭痛と一緒に、不思議な情景が浮かぶんだ.
遠い昔のような…、夢のような…、本当に不思議な情景. 』
花火を見ていると、また、キリッと痛む.
『 ……その情景の中にはね、』
__実弥くんがいるんだ.
そう、言うと、目を大きく見開く彼.
きっと、おかしな話だと思っただろう.
仕方ないよ.
だって、自分でもそう思うから.
「 ………変でも、不思議でもねェよ 」
実弥くんの口から発せられた言葉に驚く.
「 多分、……全部本当にあったことだ 」
全部…本当にあったこと?
どういう意味?
けれど、そのことについて、何も話さなかった.
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みお(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました…。この作品に出会えて良かったです!! (2022年4月10日 14時) (レス) @page41 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
つめきわに - とても感動するお話でした。シリーズの初めから一気に読んだのですが、止まれませんでした!不死川さんがもっと好きになりました〜 (2021年1月25日 21時) (レス) id: 425fb41c74 (このIDを非表示/違反報告)
Yasuko Yaotani(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました!凄く幸せな気持ちになりました。次回作もたのしみにしてます☆ (2020年12月25日 21時) (レス) id: 2ca8d75cad (このIDを非表示/違反報告)
さとみ(プロフ) - シリーズ一気読みしてしまいました!今更ですがこの作品に出会えて幸せです!他の作品も読ませていただきます! (2020年11月9日 11時) (レス) id: 4be6ea8e94 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 最高でした!連載お疲れ様です!素晴らしい作品に出会えて幸せです!次回作も心から楽しみにしています! (2020年6月30日 18時) (レス) id: 81d60ec5d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっちゃろん | 作成日時:2020年4月7日 0時