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徳「磨け」

徳川くんが差し出したそれは、信玄くんがスクーターにつけていた白い旗だった。
【風林火山】。それは、彼と同じ名を持つ信玄公の理念であり信念そのもの。その4文字を掲げた旗で磨け、など…あまりにも、非道すぎる。
徳「それで磨け」
「武田…」
徳「磨け、ゴミ〜‼︎‼︎」
信玄くんを煽るように怒鳴る徳川くんを、堪えるように噛み締めながら睨む信玄くんに、私の中の何かが切れた。

旗を掴み、徳川くんに向き合う。
大きく、威圧感のある彼を直視すると、先日の恐怖が蘇り無意識に身体がこわばる。
けれど。
あの頃、あの戦場ではと意識をそらして、まだ痛みの残る腕を軽く撫でる。大丈夫。どんなに大きく強くとも、私はきちんと戦える。
たとえ信玄くんに勝ったといえど、戦は最後までわからないのだから。
臆病者の目には敵が大軍に見える、と殿はよく私をからかった。
大丈夫。私は、ちゃんと彼の前に立てている。

徳「邪魔だA。俺はそこのゴミに言っている」
『…この旗は、ゴミではありません。武田信玄の理想とした4字を掲げた旗は、…貴方の靴を、磨くためのものなどではないのだから…!』
徳「A…!」
言い切って、徳川くんをじっと見据える。
怒らせちゃっただろうなぁ…殴られるのかなぁ…蹴りはやだなぁ…体格からして柴田の爺さんにシバかれたときよりきつそうなんだよなぁ…
言ってしまったものは仕方ない、と覚悟を決めるが、いつまでも徳川くんは動かず想像していた痛みは来ない。

明「っ、Aちゃん!」
と、みっ…明智くんに名前を呼ばれた。明智くんはそのまま自分のハンカチで徳川くんの足をせっせと磨く。
明「家康くん、僕が綺麗にするよ。僕…強い人に憧れてて…家康くんと友達になれたらなぁって」
「家康に媚びやがったよ」

明智くんの様子に、家康くんはニヤッとわらって…
「明智」
「な、なに?」
明智くんを蹴り飛ばした。
『なっ、明智くん…!』
「ゴミの分際で下品な笑顔を浮かべおって」
「ご、ごめんなさ…」
「媚びてあれかよ…」
駄目だ。看過できない。彼は、何もしていない。
穏便に?…いや、もう手は尽くした。

賽は、投げられた

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オタくん(プロフ) - 凄くおもろいです!更新楽しみにしてます! (8月7日 20時) (レス) @page49 id: 487a14ebf8 (このIDを非表示/違反報告)
みずのえ(プロフ) - ありがとうございます〜頑張りますね、! (2022年10月27日 23時) (レス) id: 07361828e7 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - すごく面白いです!更新楽しみにしています!! (2022年10月26日 0時) (レス) @page29 id: 06fabb07b9 (このIDを非表示/違反報告)
みずのえ(プロフ) - …かもです…本編の性格と大幅に変えてしまっているかもで本当に申し訳ないです… (2022年10月24日 7時) (レス) id: 07361828e7 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - ヤンデレ来たかこれ? (2022年10月20日 19時) (レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みずのえ | 作成日時:2022年10月13日 22時

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