【おそ松さん】猫が人間になったんですけど【一松】

第２０松 ページ21

下に何も履いていないAに近付くのは、少し抵抗があった。
さっきまで着ていた俺のパーカーは大きくて全身を隠すことができた。
けど今着ているものは、A用の大きさ。
つまり、上半身にピッタリサイズと言うこと。






先に下から着せればよかった。
そう後悔しつつも、また脱がせて…というのはあまりにも酷だ。
どうしようかと悩んでいるときだった。






「いちまつー！」






後ろから名前を呼ばれて振り返る。
そこには、毛糸のズボンを持ってすでに足を通しているAの姿。
そしてAはそのままズボンを引っ張り、自分で履いた。






…え、自分で履いた？






「A…」
「できた！いちまつ！」







笑顔ですり寄ってくるA。
毛糸のズボンからひょこっと覗く尻尾がゆらゆらと揺れている。
…すごい。







「…よくできたね」
「えへ」






頭を撫でてやると、嬉しそうに目を細めた。
その表情が、優しくて柔らかくて。
いつの間にか自分の顔も緩む。








「一松〜、そろそろご飯だよ」
「…ん」
「Aちゃん、どうする？」
「一応連れて行く」







寝室の扉から顔を出してきたチョロ松兄さんにそう告げて、
なんとなくAを抱き上げる。
足を動かしながら、頭を擦り付けてくるのはもう慣れた。

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