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時間というものは必ず今を連れて来て、今を連れていくものだ

あれだけ綺麗な橙色をした空が今では黒く染まっている

隣では夕飯の為に身支度を整える行ちゃんがいて、髪をいじっているところだった
何やら前髪全てがオールバックではなく、ひとつまみだけ残すのが彼のこだわりらしい



行「どうですかA、良い仕上がりでしょう?」

『普段と変わらな……うん格好いい。』

行「ふふふ、やはりAが側にいると全てが上手く行きますね」

『…そうか』



上機嫌で僕の手をひく行ちゃん
彼は殆どが孤食であり部屋で取っているし、珍しく仕事が片付いているからだろう

僕との時間がとても喜ばしいのだと笑っていた


いつもそうして笑っていたらいいのに

彼と繋がれた手に少し力を込める



行「おや、少し早かったですか?」

『違う…』

行「?」

『何でもない』

行「ふふ、そうですか」



そう言いながら僕より少し早く歩いていた行ちゃんが、歩幅を合わせるように隣に並んで歩く

気遣ってくれているんだ…


そう思えば思うほど、彼は悪い人ではないのだと感じさせられる
人間を嫌っていてここで見つけてしまえば即息の根を止めてもおかしくはない彼だけど、根はいい者なのだ



行「そうですね、この流れで一緒に入浴だなんて…」

『ふんっ…!!』

行「い、痛い痛い!!握力強いですよっ!!骨がえぐれそうです!!!」



多少、立に負けないくらい変態じみた一面も兼ね備えているが。


根はいい奴だ

根はいい奴なのだ…。



『まだ結婚してないんだから』

行「その言い方だといずれしてくれるんですね?」

『む…可能性は無くは無い……っわ!』


グイッと引っ張られて行ちゃんと密着する。


行「その時は是非僕で」

『ッ…!』



耳元で囁かれる言葉にドキッとする
徐々に赤くなる顔を行ちゃんは見て、満足そうに微笑み僕から体を離した


吃驚した…。


ドキドキと波打つ心臓を落ち着けながら歩く事数秒
奉公人達が扉を開けると綺麗に彩られた料理が姿を表した


何とまあ豪華な事やら



『行ちゃん、今日は有難う』

行「それは僕のセリフですよ。さぁ頂きましょうか」



僕を椅子に座るよう促して彼も向かい合うように座った

途端に軽快なメロディーが流れ、香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。
それは感じられなかった空腹を目覚めさせ、波のように襲いかかって来た。

抵抗心は無い。

僕は行ちゃんとその波にのまれ満腹になるまで夜を楽しんだ

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氷夜猫(プロフ) - 凛歌さん» 返信が遅れて大変申し訳無い!;;暖かなコメ有難う御座います!まだ見ていて下さるのならばこれからも何卒宜しくお願いします! (2017年10月15日 10時) (レス) id: 733ee73110 (このIDを非表示/違反報告)
凛歌 - 友達から勧められて読んでみたんですが、とても面白かったです!更新頑張ってください!!(^^)y (2017年8月8日 16時) (レス) id: bd63f33454 (このIDを非表示/違反報告)
氷夜猫(プロフ) - 翔也さん» 暖かなコメントを有難う御座います!確かにあまり知られてないですよね…そのお気持ち分かります(´ー`*) (2017年5月20日 15時) (レス) id: 733ee73110 (このIDを非表示/違反報告)
翔也(プロフ) - モノノケ庵なのじゃぁぁぁぁ!!面白いです!更新頑張って下さい!僕の周りにモノノケ庵知ってる人少なくて悲しい. : * ~ * : . _ . ( 寂 ´ ・ ω ・ ` 、 ) シ ョ ホ ゙ ホ ゙ ホ ゙ ー ン (2017年5月12日 7時) (レス) id: 8a71459d56 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氷夜猫 x他1人 | 作成日時:2017年4月1日 8時

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