Prolog_昔話 ページ1
穏やかな大海原に向けて今日も沢山の船が出港する
しかし、そんな穏やかな海でも皆が皆忌み嫌い、避ける海域が有るのだという
それも死の海域。
そこに踏み入れたものは生きては帰ってこれず海の藻屑と化すと恐れられてきた
原因はわからないが、その海域の付近を通る者達は口を揃えてこういうのだ『美しい唄声が聞こえる』と
そんな中に勇敢で知恵のある男が船乗りたちと共にその海域に足を踏み入れた
『私をきつく柱に縛り付けて、お前達は耳栓をして隠れていろ。何があっても縄を解くな、音を聞くな』
その指示に従い船乗りたちは、男を柱に縛り付けて耳栓をして身を隠した
海域に冷たい空気が漂い始め、遠くから唄声が聞こえてくる。
すると段々と大きくなるその唄声に比例するかのように男は身を大きく動かし縄から逃げ出そうと暴れはじめた
唄声の主は男を惑わす為、海にその身を投げ出させる為に唄った。
唄って唄って、とうとう最後まで唄いきったが男は海にその身を投げ入れることはなかった。
唄声の主は一族の掟としてその身を海に投げ入り死んでしまう
最後まで唄に惑わされない人間が現れたならその身を海に捧げよという掟。
男は船乗りに合図をして縄を解いてもらった
彼は誰一人として殺すことなく、船を沈めることなく死の海域から還ってきたことから町で勇敢な人間として讃えられた。
そして、美しい唄を残して死んでしまったモノをセイレーンと呼び、死の海域からの
これが、この異国の地に根強く残る1つの妖怪の話。
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作者名:氷夜猫 | 作成日時:2017年3月23日 18時