夢でまた会いましょう【gt】

41話 ページ42

『はぁ、はぁっ...うっ、』


上手くできない呼吸


止まらない吐き気


歪む視界


嫌に聞こえる周りの音


苦く感じる唾液の味


そして＿＿＿＿




鼻にこびり付く鉄の匂い




そんな不快に感じるもの全てから逃げだしたくて、私は意識を手放した。



『あぁ、私...』


夢でも尚赤く滲むシャツが、私がしたことをハッキリと理解させた。

あの時、怖くなって...咄嗟に近くにあるものを手に取ってそれで.....


『終わったぁ.....』


私は人生の終わりを感じた。

不思議と怖くなかったし、どこか清々しい気持ちだった。

やっと、辛い思いをしなくて良くなる。

"終われる"


ため息をつき、当たりを見渡す。

変わらずぐちつぼさんと過ごしたあの空間だ。

けど、あの日から彼とは会ってないし敷布団で寝ていた為この世界に来るのも久しぶりだ。

勿論、ぐちつぼさんのベッドには誰も...


「あ、こんちゃっす...」

『...ども』


...え？


『わぁぁぁ！！？誰ぇ！？』

「いやずっと隠れておくつもりだったよ！？けどぽまえが布団をめくるからバレちゃった！！！」


布団をめくると赤いマフラーをした男の人が縮こまっていた。


『な、なんでぐちつぼさんのベッドで寝てるんですか！？』

「間違えたんだよ！！部屋入った時点で気づいたっちゃ気付いてたけど疲れてたからそのまま寝ちゃったってわけ！」

『な、なるほど...？』


この人も国の人か...


「てか俺の夢物騒だな...君明らかに人殺してるやん。」

『殺っちゃいましたね〜』

「殺っちゃったんだ...」


久々にまともに人と話した。

いや、内容はまともでは無いが...

この際、気になること全部聞いてしまおう。


『戦争、どうなりました？』

「んーっとね〜！俺らの勝ち！圧勝よ」

『そうですか...』


良かった...


『じゃあ、ぐちつぼさんは元気ですか？』

「ぐちつぼぉ？いつも通りうるさいよ、いつも通り。」

『ふふっ、それは良かった。
あ、じゃあ緑の大きな帽子被ってた人は怪我大丈夫ですか？』

「緑のこと？緑ももう大丈夫だよ、敵煽ってたし。」

『それなら、そっちに心配事はなしですね...』

「？」


あっちは全部上手くいっているようだ。


『最期に聞けてよかったです、ありがとうございます。』

「最期...？ねぇ、これってただの夢？俺にはどうにも君が現実で生きてる人間にしか見えないんだけど」

『どうでしょうねぇ。あ、それとぐちつぼさんに伝えてください



楽しい時間をいっぱいくれてどうもありがとうって』

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