沖縄キャンプ_6 ページ24
練習を終え、ホテルに向かった。
ノムと一緒に部屋に戻り、着替えてはベッドに飛び込む。
うつ伏せになり、身を預ける。
「こっちー、ベッド好きだね」
ノムは笑いながらベッドに腰掛けて、俺を見つめる。
「うん…好き。
ずっと寝てたいわ」
俺は目を細め、ふと笑う。
「えぇ、それはダメだって」
ノムは眉を下げ、苦笑する。
「はは、だよね。
ねぇ、ノム」
「何?」
「暇だからなんか話してよ」
俺は笑いを混じらせながらそう言う。
「は、はぁ?」
ノムは間抜けな声を出す。
「変な声。
そうだ、ノムの高校時代とかどうだったの」
「えっ、俺の高校時代?」
「うん、そう。」
・
ノムの高校時代。
そう言えば、あんな出来事があったなぁ。
・
「ノムは、広陵高校出身だよね」
「そう、広陵高校だ、よ」
ノムは俺の隣に寝転び、仰向けになる。
「広陵高校…か。
誠司がいたな」
「そうそう、懐かしいなぁ。
あの夏のこと…」
あのことかな、佐賀北との決勝の。
「あの夏って、決勝の時?」
「そうだよ。
あの時は…本当、ね」
やっぱりね。
「あの時、凄く動揺したでしょ。
俺テレビで見てたよ」
「そうなんだ…かっこ悪いよね」
ノムは少し落ち込んだように俯く。
「かっこ悪くなんかねぇよ。
負けたのは仕方ないけど、それ以外の試合でめちゃくちゃ抑えてたじゃん。
防御率、0.00だったんでしょ」
「…うん」
「今更落ち込んだらだめ。
負けを生かして、今のノムがいるんだし…。
かっこいいよ、ノムは」
俺はノムに手を伸ばして、頭をポンポンと撫でる。
「…ほんと?」
ノムは少し目を赤くし、涙が張っている。
今でも泣きそうな表情だ。
「うん、本当だよ。
…って、泣いてんの」
俺は苦笑し、顔を覗き込む。
「…うん。
あんまり見ないで」
素直だなぁ、ノムは。
ノムは枕に顔を埋める。
泣いちゃった。
なんかごめんね。
「泣かないでよ」
「んー…。
こっちー…__」
枕に顔を埋めているから、モゴモゴ言ってて聞き取りづらい。
「えっ、なんて言った?」
「何でもない」
凄く気になるんだけど。
「ええ」
素直なノムくん、そこは言おうぜ。
俺はノムの頭を撫で続け、泣き止むまでそばに居た。
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小鳥遊(プロフ) - あーさんさん» 貴重なご意見ありがとうございます!確かにそうですね、固定にしておけば良かったと思いました←短編集もいいですね!カープだけでは無く他の選手の方も入れようかなと思います! (2017年3月30日 19時) (レス) id: 49fe55d7dc (このIDを非表示/違反報告)
あーさん(プロフ) - 新作なら、いろんな人との絡みの短編とかどうですか? それか、こんどは出てくる人を固定するとか…どうでしょう? (2017年3月30日 19時) (携帯から) (レス) id: 4324b5116a (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊(プロフ) - あーさんさん» コメントありがとうございます!ニヤニヤしてもらって嬉しいです← これからもじゃんじゃん更新致します! (2017年3月24日 19時) (レス) id: 49fe55d7dc (このIDを非表示/違反報告)
あーさん(プロフ) - これは…やばいっす! ノムスケが可愛すぎてニヤニヤしてます(笑) 更新楽しみにしてます♪ (2017年3月24日 17時) (携帯から) (レス) id: 4324b5116a (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊(プロフ) - ロイルークさん» コメントありがとうございます!何回も見てくださるとは…!誠に嬉しいです。これからも本作品をよろしくおねがいします! (2017年3月24日 16時) (レス) id: 49fe55d7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小鳥遊 | 作成日時:2017年3月12日 17時