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いやいや、たかが偶然のその姿、
そのような女に誑かされる男だったのか?

呆然としながら痛めた右頬と右腰に手を当て、
怪我の状態を冷静にみる。

いくら夜兎と言えど男と女の腕力の差は
一目瞭然だ。そのために私は武器を使った戦闘
にも念を入れて鍛えた。
今回はあちらが遠慮なしに殴ったので酷く
傷んでいるはずだ、そう思い傷に手を当てるが
思いのほか痛みも感じず、既に回復しきった
ようだ。

夜兎族ではあるがそれでも自分の回復力に
恐れをなす事が多い。
どこまでの怪我が回復するのかは人それぞれ
だがアホ毛は骨を折っても直ぐに治ったので
その程度は私にもできるのだろう。

いきなりだが、かなり私は動揺している。
この騒動に多くの団員たちが駆けつけ
私の周りを囲むようにして心配するもの、
遠くから冷やかしに来たもの、
応戦しようとわくわくしているもの。

大半は心配そうにこちらを見ているが、
私は彼らの後ろにいる3人を見ていた。
目が離せないほど、彼のことを見ていた。

私の顔は今どんな顔なのだろう?
きっと桜ちゃんが望む表情なのだろう。
そう思いながら私は溜息をつき立ち上がる。

あちら側では神威が桜ちゃんを庇うように
している。

それに向かって野次馬を押し退け歩く。

この言動と裏腹に私の足は子鹿のように
ガタガタと震えており、今にも崩れそうだ。
何故だろうか?なぜあの女のことが怖い?

そうか。

私の居場所が取られてしまうからだ。

人として認めてもらえる場所にいたかった、
信頼出来る仲間と肩を並べて立ち
実力だけで這い上がることの喜びを
感じていたかった。

それなのにあの女は特別だから。
女だから。神威に向き合ったから。
夜兎と人間のハーフだから。
色んな偶然が重なった、たまたまなものに
私の実力や努力は簡単に潰された。

心の中でぐちゃぐちゃとドロっとした黒い塊が
動き喚く。
落ち着け、落ち着け、
そう心の中で繰り返しながら人間らしくなった
感情に蓋をする。

彼女達の前に私は立つ。
しばらく俯いた後、私は彼女に急に笑顔を
向けた。

『あはは!すごく可愛い女の子だから
食べちゃおうかと思ってさ』

「え、?」

「A〜、お前もようやく男らしく
なってきたじゃん?お兄ちゃん感心したよ」

桜ちゃんはきょとんとし、その可愛い顔を
少し歪める。

バ神威は散々あそこまでやっといて
全くと言っていいほど気がついていない。

阿伏兎は黙って私の顔をみる。
勘づかれたようだ。

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アイリス(プロフ) - 続き待ってます! (2021年8月20日 21時) (レス) id: 45e9dfc0f9 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 真由さん» うぁぁ、ありがとうございます!他の表現で書こうとして諦めてそのままだった覚えがあります。気づいて報告して下さるなんてとても心優しい方ですね、違和感感じさせてしまいすみません! (2019年4月26日 21時) (レス) id: ffd4c8541f (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - すいません。8話め 頭抱えて笑うじゃなくて腹を抱えて笑うじゃないでしょうか? (2019年4月26日 20時) (レス) id: 4fa1d4dcbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さや | 作成日時:2018年11月26日 0時

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