人間卒業記念日 ページ25
縄が解かれた。
地面からは、土竜のなり損ないのような獣の頭が覗いている。
俺の腹に一瞬当たったのはこいつか。
女の縄は解かれていなかったが、それでも立ち上がった。
「っ女ァ！！！」
「そこでキレるってことは図星か年増？？？お前群を抜いてモテなさそだもんな！！
少年！！！」
何をしている、お前も早く逃げろ。
縄は解けるだろ、先程俺にしたように。
早く、はやく、
はやく
「死にゆく者より、幸運を祈る！！！」
笑顔だった。
憎い程に綺麗な、太陽のような笑顔だった。
何か……いや、女の式神が俺の背を押した。
人間的な黒っぽい顔をした四足獣。
振り向くなと言わんばかりに、力いっぱい吠えた。
血がじんわりと滲み出る程、下唇を噛んで走り出す。
嗚咽と、目頭から零れる透明の水滴には知らないフリをした。
今の呪力量では勝ち目が無い、戻り次第直ぐに奴らを殺してやる。
鏖殺だ、呪術師を、一人残らず。
彼奴らの女も、子供も。
「面覚えたかんな、そこの額に縫い目のあるお前」
爆発。
肉片と血が辺りに飛び散った。
大地が赤に染まっていく。
人面の獣は光の粒となって消えた。
「あーあ、これでは死体は使い物にならないね」
「ひっ、し、しかし、この女が俺の事を……」
「その程度で感情を顕にするとは、君もまだまだだな。
まだまだのまま死んでいくとは、情けない」
斬撃音。
「……さて、全く、使い勝手の良さそうな術式だったのに。
どうしたものかね」
何日経ったのだろう。
何週経ったのだろう。
時間の感覚を忘れる程に、少年は惰眠を貪った。
独りで眠ったのは久方ぶりだった。
もう女が懐かしくなってきて、必死に頭を振って幻覚を追い出した。
暫く経ったある日、少年はAの死んだ場所に静かに戻っていた。
肉片はそのまま……いや、幾つかは獣に喰われたようだが、ある程度は残っていた。
虫が集りはじめて、ぐずぐずになって、形は崩れかけていたが
「これだけ残っていれば十分だろう。
なぁ？――――」
その日、少年は生まれて初めて人を喰い
その日、少年は両面宿儺になった。
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わとり(プロフ) - この作品の作者のわとりです。こちらの諸事情により、しばらく作品の更新が出来なくなりました。最悪の場合、二度と更新出来ない可能性があります。その場合、新しいアカウントにて作品を作り直そうと考えています。ご迷惑をお掛けしてしまい、誠に申し訳ございません。 (2021年4月23日 18時) (
レス) id: fc70e25bad (このIDを非表示/違反報告)
ルノ - ﾊｧ↑めっちゃ面白いです！ポケモン自体そんなに詳しくないけど今度やってみようかな…屑先生とSCPが出てきたときの胸の高鳴りがもう…もう…() (2021年4月5日 19時) (レス) id: d669d1f25d (このIDを非表示/違反報告)
フーパ(プロフ) - ページ3を見て「アンテか」と思いましたまる (2021年3月17日 22時) (レス) id: 905a43e5ee (このIDを非表示/違反報告)
うんうん - すっごい面白いです！ただ一文、ほんとに一文なんだけど、、、グレイシアーーーーーー！！！！！！！私も抱きしめたい、、、更新待ってます！グレイシアをもっと出してくれ！あわよくばアブソルももっと出してくれ！前のこう、、ふさふさでモフモフしてくれ！ (2021年3月2日 18時) (レス) id: 64517bd580 (このIDを非表示/違反報告)
霜月 - 第七世代までしかっていってるけど、普通に強いですよね？これなら無限もとっぱできるかも！ 久しぶりの更新嬉しいです！この作品の続きが気になって夜しか眠れない！更新頑張ってください！ (2021年3月2日 15時) (レス) id: 4263d465dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わとり | 作成日時：2021年1月5日 13時
