花火《黒桃》 (ページ5)

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花火5 ページ5

蓮side(続き)

模試が終わった。

結果は、散々。

窓際の1番後ろ、自分の席に座ったまま、
空を見上げる。

俺の気持ちとは裏腹に、
雲ひとつない、快晴。

綺麗、だなー、

大介は、大学が夏休みで、出かけるって言ってた。

きっと、今頃、

...ひかる君と一緒だ。

自分は普通じゃない。

そんなこと、中学に入る頃には、
とっくに気づいていた。

周りの友達みたいに、女の子を好きになれなくて。

いや、女の子だけじゃなくて、
誰のことも好きになんて、なれなかった。

ちっちゃい時のバレンタインなんて、

『だいちゃんは誰にあげるの？』

『今年は誰にもあげないよ？』

『良かった！おれは、だいちゃんにあげる！』

誰にもあげないって聞いて、ほっとしてたなぁ。

中高一貫校に入学してからは、大介が高校生だった時、体育してるのが、中学の校舎からも見えて、

『ぁっ、大介、転んだ！』

授業抜け出して、大介のもとにかけつけて、周りに驚かれたし。

あの後しばらく、大介には過保護な弟がいるって、学校中の噂だった...

いつだって、
俺の関心は大介で、

俺の小さな世界は、

大介が全部だった。

康「まだいたん？」

蓮「あ、こーじ、」

康「どうやったー？模試ー、」

蓮「聞くな」

康「あはは、俺もやばいねん、さっき、自己採点したらさあ、もう無理ー、
気晴らしに、カフェで豪遊せーへん？」

蓮「カフェかよ、子供っぽいな、」

康「子供やん！俺ら！」

蓮「子供か、そうだよな。」

どんなに頑張っても、

永遠に埋まらない年齢差と、

それ以上に、

.....なんで俺は、

大介の“弟“で産まれてきちゃったんだろう、

康「そーいえばさぁ、お前モテるのに、全然彼女つくらへんよな？何で？」

蓮「いや、別に、」

一度だけ、人に言ったことがある。

『お前何言ってんの？兄弟で付き合えるわけないじゃん。』

超バカにされて、

現実を知った。

大人になっても、大介の隣にいれると信じてた俺にとっては、
ショックがデカくて、

それから、俺は、反抗期みたいになった。

本心なんて、
もう、誰にも言わない。

知られたくない。

もちろん、大介にも。

康「どこのカフェ行くー？俺なぁ、行ってみたいとこあんねん、」

康「なぁ、聞いてる？」

早く、大人になりたい。

大人になって、せめて大介と同じ世界を、

俺も、見てみたい。

そしたら、

いつか、

大介のこと、諦められる気がする。